名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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葛城(かつらぎ)
西日本に広がる「葛城」という名字があります。これは古代豪族の「氏(うじ)」に因むもので、とても歴史が古い名字です。
葛城氏は大和の古代豪族で、初期のヤマト王権では最大の勢力を持っていたとみられています。
武内宿禰(たけしうちのすくね)の子襲津彦(そつひこ)を祖とし、大和国葛城(現在の奈良県南西部)を本拠としていました。襲津彦はヤマト王権の外交を担当したとみられ、4世紀末から5世紀にかけて天皇家の外戚として栄えました。
ところが、5世紀後半に眉輪王が安康天皇を殺害した際、葛城円(つぶら)が眉輪王を匿ったため、跡を継いだ雄略天皇によって攻め殺され、これを機に葛城氏は没落してしまいます。
奈良県御所市室にある前方後円墳「室の大墓」は、葛城襲津彦の古墳ではないかと言われています。
なお、大和国葛城には別系統の葛城氏もあったといいます。
また、昭和4年に山階宮菊麿親王の五男茂麿が皇族を離れて一家を興した際に葛城家と称して伯爵となるなど、新しい葛城家もあります。
現在は大阪府と大分県に多くなっています。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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