何と読むでしょう？鹿児島県曽於市にある、難読名字「畩ヶ山」

名字365　姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも？知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら＞＞

---

難読名字：畩ヶ山（けさがやま）

鹿児島県曽於市にある難読名字です。

「畩」という見慣れない漢字は「けさ」と読み、「畩ヶ山」と書いて「けさがやま」となります。曽於市には「畩ヶ山」という地名があり、ここが名字のルーツとなっています。

方言漢字という言葉を聞いたことがあるでしょうか。


言葉に方言があるように、実は漢字にも方言があります。昔は今と違って全国一律の教育が行われているわけではありませんでしたから、特定の地域でしか使われていない漢字があるのです。

「畩」はこうした鹿児島県の方言漢字の一つです。袈裟のことを福田衣（ふくでんね）ともいい、この「田衣」の部分を合字して生まれたのが「畩」という漢字で、「袈裟」と同じ意味です。

かつて子どもが生まれたとき、へその緒が首に絡まったまま生まれてきた子には、それが袈裟を着ているように見えたことから、「袈裟男」「袈裟雄」など「けさ～」という名前をつける風習が各地にありました。

鹿児島県では、この「けさ」に「畩」という漢字を使用しため、昔は割と見かける漢字だったといいます。

しかし、戦後は名前に使うことのできる漢字に制限ができたために「畩」は使用できなくなり、名字と地名の「畩ヶ山」以外ではほぼ見られなくなりました。

---

森岡浩／Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

---

墨アート製作　書家・越智まみ（https://esprit-de-mami.com/）

セブンアカデミーで越智まみさんの「オンライン書道」墨アートレッスンが開催中。詳細はこちらから＞＞