海だけではなく、いろいろな場所にあった「大島」さんのルーツ。群馬県をルーツとする一族が有名

名字365　姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも？知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら＞＞

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大島（おおしま）

「大島」は地名由来の名字で、ルーツとなった地名は全国各地にあります。

地名の由来は「大きな島」ですが、「島」とは海に浮かぶ島とはかぎりません。平地や盆地の中にある小高い場所も、周囲を海に見立てて「島」といいました。さらに、周辺の地域とは違った環境の場所も社会的な意味で「島」といいました。

そのため、「大島」という場所は海だけではなく、いろいろな場所にあったのです。


そして、こうした「大島」に住んだ人が「大島」という名字を名乗りました。

その中で一番有名なのが、上野国新田郡大島（現在の群馬県太田市大島町）をルーツとする、清和源氏里見氏一族の大島氏です。

戦国時代に光義は美濃国（岐阜県）で長井氏に仕えていました。そして長井氏が没落すると、当時としては引退する年齢である50代後半になって織田信長に見いだされます。

その後弓の名人として知られるようになり、信長没後は豊臣秀吉に仕えて美濃関で1万2000石の大名となりました。さらに関ヶ原合戦にはなんと93歳で参陣、戦後には1万8800石に加増されています。のちに分知して子孫は旗本となりました。

この他にも、信濃国伊那郡大島（現在の長野県下伊那郡松川町）をルーツとする清和源氏の大島氏や、薩摩藩主島津家の支流にあたる大島氏など、いろいろいな流れの大島氏があります。

現在も各地にあり、とくに関東から新潟県にかけてと、愛知県、北九州の3地域に多くなっています。

なお、「大嶋」「大嶌」とも書きますが、ルーツは同じです。

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森岡浩／Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

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