連載「季節の香りを聞く」8月〈志野袋〉桔梗
篝火香(かがりびこう)
篝火に立ちそふ恋の烟こそ
世には絶せぬほのほなりけり源氏物語──紫式部──
選・文=蜂谷宗苾(志野流香道 第21世家元)寛永10(1633)年7月7日、後水尾院が仙洞御所で催した「七夕香の会」で、志野流6代桂山宗冨が香元(手前)を務めました。
院の第八皇子で第111代天皇、後西院も香道に精通しており、篝火香は勅製の組香。
源氏物語第27帖を題材にしており、琴を枕にして臥せている光君と玉鬘の奇妙な心の機微、そこに夕霧、柏木なども登場し、各々の思いが双方向に絡み合うが如く、複雑に組み合わせた4種の香りの順を当ててまいります。
記録には、各々聞き方によって、前半に「夕月夜」「添臥(そいぶし)」、後半に「篝火」「恋烟(こいけぶり)」の言葉を浮かび上がらせます。
歌意は、「篝火に添って立ち上る煙は、いつまでも消えることがない私の思い(恋の炎)なのです」。養女として引き取ってくれた光君から、思いもよらぬ歌を贈られた玉鬘の心持や如何に……。
~志野流組香 四十組-十番~

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