連載「千年の文様の教え」
8月「襷(たすき)・菱」
選・文=八條忠基(「綺陽装束研究所」主宰)王朝貴族は子孫の繁栄を何よりも望みました。全面に拡がり果てしなき連続性のある文様は「いつまでも続く繁栄」を想起させるものとして、吉祥柄とされ愛されたのです。代表的な連続文には「唐草」「襷」などがあります。
小葵(こあおい)

鳥襷(とりだすき)
「襷」は文様が斜めに連続する意匠のことです。高貴な文様とされる「小葵」や、「鳥襷」「龍胆襷」など、多くのバリエーションがあります。
龍胆襷(りんどうだすき)

先間菱(さきあいびし)・千剣菱(せんけんびし)・幸菱(さいわいびし)
水生植物のヒシは夏に大繁茂して水面を覆うために駆除されることもある植物ですが、その旺盛な繁殖力は、健康と子孫繁栄を象徴するものとされて、さまざまな形式にデザイン化されました。特に肌着である「単(ひとえ)」の文様として、男女を問わずに用いられています。
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