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何と読むでしょう?清和源氏を祖に持つ名家ですが、「曽雌」は当て字とも

2025.08.07

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:曽雌(そし)

初見ではどう読んでいいのか悩む名字です。しかし、「曽」は「そ」、「雌」は音読みで「し」ですから、つなげて「そし」と読みます。そのため難読とは言い難いのですが、読みづらい名字だとは思います。

この「曽雌」家、実は名家で甲斐武田氏と同じ清和源氏の末裔です。

ルーツは甲斐国都留郡朝日曽雌村(現在の山梨県都留市)で、ここに住んだ甲斐源氏の一族が「曽雌」を名乗りました。代々武田氏に従い、江戸時代は旗本となっています。


ところで、この「曽雌」という地名はおそらく当て字でしょう。

江戸時代以前は、家を継ぐ嫡男以外の子どものことを「庶子」といいました。今では「しょし」と読むのが普通ですが、古くは「そし」と言ったのです。

この、庶子が受け継いだ土地が「~そし」という地名として残っていることがあり、神奈川県松田町には松田庶子(まつだそし)という地名があります。

朝日曽雌村も、朝日川の流域のうち庶子が受け継いだ土地が「朝日そし」と言われ、そこに「朝日曽雌」という漢字をあてたと考えられます。

現在も山梨県と関東地方に多く、旧字体を使用して「曾雌」とも書きます。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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