連載「千年の文様の教え」
7月「波・雲」
選・文=八條忠基(「綺陽装束研究所」主宰)寄せては引くを繰り返す波。涌いては消えるを繰り返す雲。王朝貴族たちは、そうした自然界の「繰り返し」の連続性や永遠性に「いつまでも続く繁栄」を見いだし、大いに好み尊重しました。また波や雲の背景となる大海原や大空の、広大無辺さへの畏敬の念もあったことでしょう。
波立涌(なみたてわく)

青海波(せいがいは)
波は水辺の涼やかな風情から夏の意匠として好まれ、また雲が涌き出(い)づるさまは「無から有が生まれる」シンボルであることから吉祥柄として愛されました。
雲立涌(くもたてわく)

雲丸(くものまる)
代表的な有職文様である「雲立涌(くもたてわく)」は、シルクロード由来の「忍冬唐草(にんどうからくさ)」を縦に配置したものが変容した意匠ですが、関白の袍(ほう)(束帯の上着)に用いられるほど格式の高い文様とされたのです。
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