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旧家の「細字家」が営む日本最古のハンコ店「細字印判店」。戦国時代に集められた印判師がルーツ

2025.07.24

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

珍しい名字:細字(ほそじ)

石川県金沢市に細字家という旧家があり、細字印判店(ほそじいんばんてん)というハンコ店を経営しています。

ただしこのハンコ店、なみのハンコ店とは違います。なにしろ創業440年近くになるという老舗で、日本最古のハンコ店なのです。そしてこの「細字」という名字には特別の由来があります。

戦国時代、全国から100人の印判師が集められてポルトガル人から指輪を彫る細かな彫りの技術を学びました。そして、その中でとくに優秀だった3人に「細字」という名字が与えられたと伝えています。与えた人物はおそらく豊臣秀吉だろうとのことです。


その後、そのうちの1人尾張荒子生まれの細字左平が、同郷の前田利家に召し抱えられて天正16年(1588)に金沢城下(現在の金沢市尾張町)で印判店を創業したのが、金沢の細字家の祖です。

江戸時代は加賀藩の御用をつとめ、藩札の印章作成も担当しました。

なお、「細字」家は当初は「ささじ」と読みましたが、今では「ほそじ」です。そして代々左平を襲名し、現在の当主は12代目になります。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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