名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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大橋(おおはし)
「大橋」は、文字通り「大きな橋」に因む名字です。
今では小さな川にも橋が架かっていますが、江戸時代以前は江戸や京、大坂といった大都市や、東海道などの主要街道を除いて、川は舟で渡るか浅瀬を歩いて渡るものでした。
そのため、常設の橋は今と違ってかなり目立つ建造物だったのです。橋のある所には人が集まり、そこから「橋」のつく名字が生まれました。
「橋」のつく名字で全国一多いのは古代から続く「
高橋」で、次いで橋のたもとに因む「
橋本」です。
「大橋」は3番目に多く、「大きな橋」は各地のランドマーク的な存在だったのでしょう。
日本一有名な大橋家は、将棋の大橋家です。慶長7年(1602)に初代大橋宗桂が詰将棋集を朝廷に献上、江戸時代になると幕府から50石5人扶持が与えられる幕臣となり、以後代々幕府公認の将棋家元を世襲しました。
現在「大橋」は東北南部から岡山県の間に広く分布し、とくに東海地方に多くなっています。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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