名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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秋山(あきやま)
「秋山」は地名由来の名字で、各地の秋山地名がルーツです。
沖縄県以外に広く分布しており、とくに関東から山梨県や静岡県にかけて集中しています。
ところで、秋山とはいったい何のことでしょうか。山は季節をとわず存在していますから、あえて「秋」とつける理由があったはずです。
そもそも「季節+山」という地名は、「秋山」が圧倒的に多くなっています。名字も同じで「秋山」は他の「春山」「夏山」「冬山」とくらべて格段に多いのです。
これは、「秋」が縁起のいい意味だったからです。
秋は実りの季節です。
山では秋になると多くの木の実がなりました。そこで、近くにある山のうち秋に多くの収穫をもたらす山を「秋山」といって尊んだのでしょう。また、秋には多くの実りがありますようにと、願いを込めて「秋山」と名付けたものもあると思います。
こうして各地に「秋山」と呼ばれる山ができ、そこから多くの「秋山」という名字も誕生しました。
たくさんある「秋山」のうち、最も有名なのが甲斐国巨摩郡秋山村(現在の山梨県南アルプス市)をルーツとする清和源氏の秋山氏です。武田氏と同族で、代々武田氏に仕えていました。
静岡県の「秋山」は、この末裔という秋山氏が多いと言われます。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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