連載「言葉の道しるべ」6月 継続
選・文=田中希実(陸上選手)『赤毛のアン』の翻訳者で知られる村岡花子さんの言葉です。
彼女の評伝でこの言葉を知った時、11歳のアンより少し大きいくらいの年齢だった私は、当時走ることで身を立てていこうなど思いもよりませんでした。ただ自己ベストを出したい一心で、気づけばここまで来ていました。
走ることは単純作業です。平凡でも自分なりに洗練した一歩にしていけば、振り返れば非凡な道筋ができていることを信じさせてくれる言葉です。
しかしこの言葉の真価は、言葉そのものの説得力というよりは、彼女の作品群や彼女の在り方から、滲み出るように感じとれるものです。
平凡であることは恥ずべきどころか、愚鈍なまでにその可能性を研ぎ澄ませていけることを、私も言葉や理屈を超えて、走りを通して感じてもらえるようなランナーになりたいです。
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