名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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雨谷(あまがい)
茨城県南西部を中心に関東地方に広がる名字に「雨谷」があります。この名字、「あまや」とも読みますが、大多数は「あまがい」と読みます。
さて、日本は雨が多いため、日本語には時雨、春雨など雨に関する言葉がたくさんあります。なかには狐の嫁入りという、知らないと雨とは思えないものまであります。
しかし、名字では「雨」に因むものはあまりありません。というのも、名字とは家と家を区別するために生まれたものです。雨はある程度まとまった地域に降るため、「雨」によって家と家を区別することは難しいからなのです。
そうしたなか「雨」に因むメジャーな名字が「雨谷」です。
関東地方では、谷間のことを「や」「やつ」といい、地名では、市ヶ谷や千駄ヶ谷のように「~がや」となることもありました。さらに、「熊谷」のように、地名は「~がや」なのに、名字では「~がい」となるケースもあるのです。
雨は地形によって降り方が変わります。雨がたくさん降る谷間を「雨谷=あまがや」といい、これに因む名字は「あまがい」となったのです。
しかし「雨谷」で「あまがい」と読むのはちょっと難読です。そこで、「がい」の部分の漢字を変えて読みやすくした「雨貝」や「雨海」も誕生しました。さらに「雨」の代わりに「天」を使って、「天海」「天谷」「天貝」と書くこともあります。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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