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『古事記』にも登場する古代豪族「久米」さんのルーツ。全国各地に地名を残した

2025.06.14

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

久米(くめ)

「久米」は『古事記』などにも登場する歴史の古い一族です。

久米氏は大和国の古代豪族で、同国高市郡久米郷(現在の奈良県橿原市久米町)に由来しています。

ヤマト王権のもとでは、大伴氏の下で久米部(来目部とも)を率いて実際に軍事・警察的職掌にありました。


久米仙人(くめのせんにん)で有名な橿原市の久米寺も、久米氏と関係があるとみられています。ちなみに久米仙人は、空を飛行中に女性のふくらはぎを見て神通力を失って墜落したという説話があります。
ああ

奈良県橿原市にある久米寺。撮影/森岡 浩

奈良時代には万葉歌人として久米朝臣広縄の名がみえますが、古代豪族の久米氏は次第に歴史の表舞台からは消えていき、かわって新しい「久米」氏が登場します。それが、地名に因む久米氏です。

古代に栄えた久米氏は全国各地に「久米」という地名を残しました。

中世になると、そうしてできた「久米」に住んだ一族が、地名に因んで「久米」と名乗ったのです。

常陸国では佐竹氏の一族が、武蔵国では武蔵七党村山氏の一族がそれぞれ同国の久米に住んで久米氏を名乗るなど、各地で次々と新しい久米氏が誕生しました。

こうして「久米」という名字は全国に広がり、現在も北海道から九州まで広く分布しています。なかでも、徳島県と愛知県に多くなっています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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