名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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中西(なかにし)
「中西」は方位由来の名字です。しかも「中」「西」と方角が2つ重なっています。つまり、中央部のうちの西の部分という場所がルーツなのです。
かなり普遍的な場所を指しているのですが、不思議なことに「中西」が名字ランキングでは130位というとてもメジャーな名字であるのに対し、「中北」は3000位台、「中東」は4000位台とそれほど多くありません。さらに「中南」は8000位台でむしろ珍しい名字に近いのです。
同じような由来なのにどうしてこれほど大きな違いがでるのかはよくわかっていません。1つ言えるのは「中西」は地名も多いということです。
「中西」は西日本(富山県までの北陸も含む)に多い名字です。なかでも紀伊半島に多く、三重県、奈良県、和歌山県の3県では20位以内というかなりメジャーな名字となっています。
奈良県田原本町にはかつて「中西庄」という地名があり、大和の戦国大名筒井順慶の重臣にも中西氏がありました。
この他にも、西日本には各地に点々と「中西」という地名があり、こうした地名に由来する「中西」も多いとみられます。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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