世界中の人をつなぐ万博と第九
「まさかその55年後に、万博会場で自分がベートーヴェンの第九を指揮することになるとは。想像もしていませんでした」
大阪・関西万博は佐渡 裕指揮による「1万人の第九」から始まる写真は万博会場内にある「ウォータープラザ」と呼ばれる場所。ここで、万博アンバサダーでもある佐渡 裕さん指揮のもと、開幕イベント「1万人の第九 EXPO2025」が開催される。会場に集った1万人と世界中から集めた歌声投稿で、平和を願う「歓喜の大合唱」をつくり上げる。
「1万人の第九 EXPO2025」の舞台となるウォータープラザがあるのは、海に面した万博会場の南側。中央の広場にオーケストラと4000人が、大屋根リングの上に6000人が並ぶ予定です。指揮台が置かれる場所に立ってみて、佐渡さんは、この特別な陣形で第九に挑む実感が少しずつ湧いてきたそう。
大阪・関西万博のシンボルである大屋根リング。世界最大の木造建築で、清水寺の舞台組みの貫構造を取り入れている。「本当に圧巻。日本の建築美を世界に見せつけるようですね」(佐渡さん)。
着用コート/ HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ) スタイリング/大八木美和〈クレッシェンド〉 ヘア&メイク/稲垣直美〈クレッシェンド〉 「不安と期待が入り混じっている、というのが正直なところ。でもやってみる価値はありますよね。
『サントリー1万人の第九』も、もとは『やってみんとわからんやろ』という大阪人らしい考えから始まった企画でした。『1万人の第九 EXPO2025』の根底にも、その精神がある。そう思うと『ほなら、やってみましょか』という気持ちが湧いてきますね」
2024年12月に行われた「第42回サントリー1万人の第九」の様子。©毎日放送/サントリー 1万人の第九
4月13日の午前9時、開幕と同時に始まる1万人の大合唱が、来場者を迎えます。
「万博は、争いや分断の絶えないこの時代に、たくさんの国が手を取り合って一つのものをつくり上げる場として、とても大きな意味があると僕は思っています。だからこそ、そのオープニングで『すべての人が一つになろう』と歌い上げるのです。大きな使命感を持って、開幕に臨みます」
佐渡 裕さん(さど ゆたか)1961年生まれ。レナード・バーンスタイン、小澤征爾らに師事。1989年ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。ヨーロッパのトップ・オーケストラを多数指揮。現在、トーンキュンストラー管弦楽団(オーストリア)音楽監督、新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督、兵庫県立芸術文化センター芸術監督。万博期間中の2025年5月には音楽監督を務めるトーンキュンストラー管弦楽団を率いて33回目の来日公演を指揮。関西以外に名古屋、富山、松本、府中(東京)等全国8か所で公演予定。
(次回へ続く。
この特集の一覧>>)