名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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北村(きたむら)
「北村」は文字通り「北の方角にある村」に由来します。
「方角+村」という名字のなかでは、「
西村」が最も多く全国ランキングでは74位というメジャーな名字です。次いで「北村」が114位で、この2つが飛び抜けて多くなっています。
ちなみに「東村(ひがしむら)」は3000位台、「南村」は5000位台とかなり差があります。これとは別に「東村(とうむら)」という、13000位台の珍しい名字もあります。
ところで、現在の村はかなり広い面積を擁するところが多いのですが、江戸時代以前にはほぼ集落1つで1つの村となっていました。つまり、「北村」とはその地域の中心地から見て「北の方にある集落」という意味なのです。
新しい土地を開墾する場合には、日当たりのいい南側から開墾されていきました。そこから次第に北に向かって耕作地が広がっていき、北の方角にできた新しい集落が「北村」なのです。
現在では関西を中心として全国に広く分布しており、とくに滋賀県に多くなっています。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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