名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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菖蒲(しょうぶ・あやめ)
5月5日はこどもの日。ということで、今日の名字は「菖蒲」です。
こどもの日(端午の節句)には、菖蒲の葉を入れた菖蒲湯に入るという風習があります。
さてこの「菖蒲」という名字、なんと読んだでしょうか。
「菖蒲」という漢字は「しょうぶ」とも「あやめ」とも読み、名字でも「しょうぶ」と「あやめ」の両方があります。
ところが、ショウブとアヤメはよく似ていますが、実は別の植物なのです。
ショウブはショウブ目ショウブ科に属し、池や川など湿地帯に生えます。一方、アヤメはアヤメ科アヤメ属で山野の草地や日当たりの良い草地に生え、比較的乾燥している場所を好むのです。
さらにアヤメ科にはハナショウブという植物もあり、素人にはなかなか区別がつきません。そのため、これらは混同されて、「菖蒲」という漢字で「しょうぶ」とも「あやめ」とも読むのです。
名字としては山形県と九州に多く、山形県では「あやめ」と読む一方、九州に広がる「菖蒲」は「しょうぶ」と読み、地域によってくっきりと分かれています。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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