〔特集〕歴史と希望の物語を伝える「学び舎の桜」 毎年春になると、子どもたちの成長を祝福するかのように開花する学び舎の桜。ひときわ美しく咲き誇る花は、長年木々が大切に守られてきた証です。学び舎の桜は、いつ誰がどのような想いで植えたのでしょうか。5校の桜の歴史と物語に迫ります。
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学習院大学【東京・目白】
満開の桜は大切な日の思い出を華やかに彩る。
伝統と歴史、満開の桜が祝う入学式
華族の学校として1877年に創立され、1884年に官立(国立)学校となった学習院。初等科・中等科・高等科の一貫教育を行い、1908年に目白キャンパスが開設されましたが、1945年の空襲で木造校舎はほぼ全焼。華族制度が廃止された1947年に私立学校として再出発しました。
東別館(旧皇族寮)のひさしにも院章の桜花の装飾がある。
現在の大学は5学部17学科が同じ目白の校舎で学んでいます。自身も卒業生である広報課の川﨑彩乃さんは「学生も教員も専門分野の垣根を超えた交流があり、大変刺激のある環境です」と話します。
都心にありながら自然豊かな目白キャンパスには、ソメイヨシノをはじめ、ヤマザクラやカンザンなど28種類239本の桜の木があり、正門や学生食堂前の広場、テニスコート脇など、さまざまな場所でその美しさを味わえます。
北別館前のイチヨウは珍しい品種。ソメイヨシノより約半月遅れて開花する。
構内を歩いていて気づくのが、藁を巻いたり、支柱を添えられた桜が少なくないこと。
施設部の政清充則さんによると、「戦後まもなく植えられたと推測される桜の多くは、老化や病気で弱っています。でも、学習院にとって桜は非常に重要な木ですから、伐採は最後の手段として、できるだけ治療を続けています」。
人に対するのと同じ「治療」という言葉に思いの深さが滲みます。
学生食堂などの入る「輔仁会館」前の広場もお花見スポット。後方の建物は西2号館(右)と中央教育研究棟。
努力の甲斐あって、息を吹き返した木の一つが、正門脇のソメイヨシノ(下写真)。その見事な回復ぶりは、学習院の記録写真にも残されています。5年先、10年先もきっと、学生たちの晴れの日を祝福してくれることでしょう。
国登録有形文化財である正門の上で咲き誇る桜の木は樹齢90年超。大学に残る戦前の資料で、唯一桜が写っていた1934年の写真からその歴史が判明した。笑顔が潑剌とした大学生の皆さんは、入学式で見る桜に「歓迎されている気持ちになります」と感激していた。
※2024年撮影
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