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獺(かわうそ)から名が生まれた、難読名字「獺ヶ口」。将棋ファンならあっさりと読めるかも

2025.04.30

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:獺ヶ口(おそがぐち)

「獺ヶ口」という難読名字があります。初見ではどう読んでいいかわからないのですが、将棋ファンだとあっさりと読めるのではないでしょうか。

というのも、2024年10月に新たにプロ入りした棋士に獺ヶ口笑保人四段という棋士がいるのです。しかも、群馬大学医学部の現役学生で医師と棋士の掛け持ちということで話題になりました。因みに名前は「えほと」とよみます。

江戸時代、越前国足羽郡に獺ヶ口村という村がありました。現在は福井市獺ヶ口町で、戦国大名朝倉氏の本拠地一乗谷遺跡の少し奥の方、JR越美北線の小和清水(こわしょうず)駅と足羽川をはさんだ対岸のあたりです。ここが「獺ヶ口」という名字のルーツの地です。


ここは芦見川と足羽川が合流する場所で、かつては美濃街道の難所でした。ある時、大岩の下にある淵の主である獺(かわうそ)が切通しをつくることを村民に教えたことから通行しやすくなり、獺ヶ口村という名が生まれたと伝えています。

カワウソは「ウソ」「オソ」ともいい、地名では「うそがぐち」、名字では「おそがぐち」と読みます。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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