カルチャー&ホビー

江戸の技を受け継ぎ「現代の浮世絵」に挑む、アダチ版画研究所

2025.03.06

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《神奈川沖浪裏》ができるまで

【絵師】

(1)版元の依頼に基づき、絵師が墨一色で基本となる「版下絵(はんしたえ)」を描く。

【彫師】

(2)山桜の版木に薄く糊をつけ、版下絵を貼る。

(3)「主版(おもはん)」を彫る。まず「小刀(こがたな)」と呼ばれる彫刻刀を使用し、版下絵の墨線の両脇に切り込みを入れる。これを「彫(ほり)」と呼ぶ。

(4)すべての線の両脇に切り込みが入ったら、鑿(のみ)で不要な部分を取り除く。これを「さらい」と呼ぶ。特に細かい部分は小さな「透鑿(すきのみ)」を使い、慎重に作業する。

【彫師】(+【絵師】)

(5)主版が完成したらそれを色数だけ摺り(校合摺=きょうごうずり)、絵師が色の部分指定をしていく。


(6)「色版」を彫る。絵師が色指定した校合摺を版木に貼って色版を彫る。1つの浮世絵は、基本的に5枚の版木で作られる(主版は片面のみ、色版は裏表を使用)。

【摺師】

(7)絵師の色指定に合わせ、摺師が絵の具を調合する。

(8)竹皮から作られる「溶棒(ときぼう)」を使って絵の具を版木にのせ、馬毛の刷毛で素早くのばす。

(9)版木につけられた「見当」に合わせて和紙を置き、ばれんで和紙の繊維の中まで絵の具をきめ込んでいく。

(10)(7)~(8)の作業を一色ずつ繰り返し、色を摺り重ねて仕上げる。


浮世絵現代

会期:2025年4月22日(火)~6月15日(日)
場所:東京国立博物館 表慶館 東京都台東区上野公園13‒9
TEL:050‒5541‒8600
開館時間:9時30分~17時(最終入館16時30分)
休館日:月曜、5月7日(水)休館 ※4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
入館料:一般1400円

主催:東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション
共催:公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団
企画協力:エヌ・アンド・エー

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年03月号

家庭画報 2025年03月号

撮影/本誌・西山 航

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