名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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難読名字:梵(そよぎ)
「梵」と書いて「そよぎ」と読む超難読名字で、また極めて珍しいものです。
2017年までプロ野球の広島カープに「梵英心」(そよぎ・えいしん)という選手がいたので、広島ファンにはおなじみの名字だと思います。しかし、極めて珍しい名字のため、その他の人はまず読むことができないでしょう。
今では、武士に限らず農民でも江戸時代から名字を持っていたことはわかっていますが、僧侶は正式に名字を持たない人達でした。もともとは名字のあった人も出家した際に俗世間から離れるために名字を捨てて、僧侶としての名前を名乗ったのです。
しかし、明治政府はこうした僧侶達にも名字を名乗ることを強制しました。そこで僧侶たちは仏教用語や経典の言葉などから新しい名字を作って名乗ることが多かったのです。
「梵(ぼん)」は仏教用語で、宇宙を支配する根源的な原理というようなもののことです。そして、「梵」という漢字の本来の意味が「木の上を風が吹く様」であることから、「梵」を「そよぎ」と読ませています。
なお、広島県にある梵選手の実家もお寺です。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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