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実は全国的にメジャーながらも、由緒正しい響きのある名字「松平」

2025.04.07

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

松平(まつだいら)

「松平(まつだいら)」と聞くと、なんとなく由緒正しいような気がしないでしょうか。しかし、「松平」は名字ランキングでは2000位付近のかなりメジャーな名字で、全国にはたくさんの「松平」さんがいます。

さて、「松平」というと徳川家康を連想します。2023年のNHK大河ドラマは「どうする家康」の主人公徳川家康も、もとは「松平元康」と名乗っていました。

松平一族のルーツの地は三河国加茂郡松平郷(現在の愛知県豊田市松平町)です。


ここは豊田市東部に広がる山の中で、松平氏はこの山中にある少しだけ開けた地に室町時代から勢力を持っていました。つまり、「松平」とは「松が繁っていた比較的平らな土地」に因んでいます。

江戸時代、徳川家は清和源氏の子孫と言っていましたが、本当のルーツはよくわかりません。

室町時代には松平郷から西三河の平野に進出し、やがて十八松平といわれる多くの分家を出して三河を代表する武士となっていました。

しかし、江戸時代に「徳川」と名乗れたのは、将軍家の他は御三家(紀伊家・尾張家・水戸家)と御三卿(一橋家・田安家・清水家)の計7家だけでした。

この他のたくさんの分家は、すべて「松平」のままだったのです。従って、家康の直接の子孫にあたる松平家もあれば、室町時代から分家を繰り返してきた松平家もあり、将軍家との距離は様々でした。

なお、もともとのルーツが「松の繁っている平らな土地」という地形なので、三河松平氏とは別のルーツを持つ「松平」もあります。

とくに富山県では「まつひら」と読むことが多く、全国を合計すると3割近くが「まつひら」と読みます。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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