名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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新井(あらい)
「新井」は全国順位99位というメジャーな名字で、群馬県を中心に北関東と長野県に多く、群馬県では4位、埼玉県では8位という高い順位になっています。
とくに埼玉県秩父地方から群馬県東部・栃木県西部にかけて集中しており、なかでも群馬県神流町では人口の15%を占める圧倒的な最多名字となっている他、埼玉県秩父市でも一番多い名字が「新井」です。
さて、「新井」の「井」は井戸だけではなく、広く生活に必要な水を得る場所を指していました。つまり、川から水を汲む場所や、田んぼに水を引く用水路なども「井」なのです。
関東平野を流れる利根川は、江戸時代初めの徳川家康による流路の付け替えまでは東京湾(江戸湾)に注いでおり、暴れ川として知られていました。広い平野を蛇行して流れるため、大雨が降るとしばしば氾濫して周囲の田を押し流し、流れが大きく変化したのです。
川の流れが変われば、その川から水を汲む場所や、用水路なども変わります。こうして新しくできた「井」が「新井」なのです。
しばしば氾濫を興す利根川では、その都度「新しい井=新井」が生まれたことから、利根川の流域には「新井」が多いのです。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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