名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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辻(つじ)
「辻」とは「道が交差したところ」を意味する言葉です。
道が交差する場所は人の往来が多く、商業が栄えて一等地になりました。そのため、多くの人が住み「辻」という名字も増えたのでしょう。
名字ランキングでは125位という高い順位で、道や道路などに因む名字としては最も多いものです。
現在「辻」は、近畿地方から北陸にかけてと、九州北部の2ヶ所に多くなっています。
古くから交通の発達していた近畿地方や九州北部には、大きな「辻」がたくさんあったのだと思います。
近畿地方では兵庫県を除いてすべて50位以内となっており、なかでも滋賀県は人口比でみると全国で最も多く、順位も15位と県単位では最高の順位です。
一方、北関東より北には少なく、東北の太平洋側では県庁所在地以外では珍しい名字と言えるほど少なくなっています。
三重県では「逵」という漢字を書くことがあります。「逵」は「大きい道」を表す漢字ですが、名字ではそうした細かい意味の違いは気にせず、「辻」の別の書き方という扱いです。
福岡県の「都地」、関西に点在する「津路」なども、「辻」を漢字2字にしたものでしょう。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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