名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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市島(いちしま・いちじま)
「市島」という名字は全国ランキングでは7000位台で比較的多い名字です。
関東から新潟県にかけて多く、とくに新潟県の中央部に集中しています。そして、新潟県には名家の市島(いちしま)家がありました。
この市島家のルーツは丹波国氷上郡市島村(現在の兵庫県丹波市)です。
戦国時代、市島家の祖弥惣右衛門は溝口氏に仕え、溝口氏が越後新発田の領主となるとそれに従って移り住み、やがて南山八家といわれる分家とともに、水原(すいばら)や新発田で大きく発展しました。
江戸時代には近くの福島潟を干拓して広大な新田を開発し、新発田藩御用達の豪商兼大地主として栄えました。
そして、明治維新には蒲原郡など59村で1466町歩の耕地に、宅地・山林合わせて2000町歩という全国屈指の巨大地主になったのでした。
1町歩は約1万平米ですから、その面積は約2000万平米=20平方キロとなります。東京ドーム約428個分です。
また、地元の地名学者吉田東伍が日本屈指の地名辞典『大日本地名辞書』を編纂する事業に協力するなど、文化事業に力を尽くしました。
女性杜氏全国第1号が誕生したことで知られる新発田市の王紋酒造も、旧社名は市島酒造でこの市島家の一族です。
「市島邸」詳しくはこちらからご覧いただけます(新発田市公式サイト)>>
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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