とても縁起のいい名字「増田」。山口県や栃木県では「ました」さんと読むことも

名字365　姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも？知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら＞＞

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増田（ますだ）

「増田」はとても縁起のいい名字です。

江戸時代までは、経済の基本はコメでした。従って、コメを作る田んぼは財を生む源で、田んぼをどれだけ所有しているかで、財産の多寡がはかれたのです。そのため、江戸時代には各地で新田を開発して田んぼの面積を増やしました。こうして増えた田んぼが「増田」です。

増田が多ければ多いほど、その家の財産が増えたわけで、そうした田んぼに因む「増田」という名字はとても縁起のいいものなのです。


「増田」にはもう1つ別の由来もあります。

耕地整理されていない昔の田んぼは、様々な形をしていました。そうしたなか、四角い形をしている田は「升」に因んで「ますだ」と呼ばれました。この「ますだ」に縁起のいい「増」という漢字をあてて「増田」となったものもあります。

いずれにしても「増田」は縁起のいいもので地名になることも多く、各地に「増田」という地名が生まれました。そして、そこをルーツとする「増田」さんも誕生したのです。

また、安土桃山時代に豊臣秀吉の五奉行の一人として活躍した増田長盛のように、「増田」と書いて「ました」と読むこともありますが、これもルーツは同じです。山口県や栃木県では「ました」さんが比較的見られます。

現在では、静岡県を中心に四国東部から関東南部にかけて多くなっており、14都府県で100位以内に入っています。とくに静岡県と千葉県に多く、静岡県では第15位の名字となっています。

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森岡浩／Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

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