エンターテインメント

加古隆さんが「宮沢賢治」をテーマにコンサート開催 『風の又三郎』や『永訣の朝』が音楽と結晶し蘇る

2026.10.06

  • facebook
  • line
  • twitter

作曲家・ピアニストとして活躍を続け、その音色の美しさから「ピアノの詩人」とも評される、加古隆さん。2026年11月から12月にかけて、加古隆コンサート「銀河の旅びと~宮沢賢治と私」が大阪、神奈川、岩手で開催されます。「賢治から聴こえる音楽」を軸に、宮沢賢治が残した詩や童話の「ことば」と、加古隆さんの「音楽」が出会い、新たな響きとして蘇る特別なステージです。

自然への深いまなざしや宇宙への憧れ──。賢治の世界と加古さんの音楽は、どのように響き合うのでしょうか。二人の芸術家が生み出す創造とは──。公演を前に、お話を伺いました。(※名前「隆」は旧字体、生の上に一が入ります。)

東北の自然へと心が解き放たれた、ある冬の日


──宮沢賢治の作品を意識されたきっかけを教えてください。

賢治の作品は子どもの頃から読んでいましたが、特にファンだったわけではありませんでした。強く心に残っているのは、ヨーロッパに住んでいた頃のことです。ある寒い冬の雨の日、部屋に閉じこもっていた僕は、たまたま手元にあった賢治の短編集を読みました。すると、東北の自然のなかへ、ぱっと自分が移動したような、爽やかでみずみずしい感覚に包まれた──。自分の気持ちが救われたんですね。それ以来、賢治という人が心の中に強く印象づけられました。


──賢治の作品に描かれる「自然」に惹かれたのですね。
農民であることを大切にした賢治の「自然」の描写には、とても魅力を感じます。また、『銀河鉄道の夜』に出てくるような宇宙への憧れや夢は、僕自身も子どもの頃から持っていたものです。そういうところにも、共感するものがたくさんありますね。

──パリで音楽を学ばれた経験は、現在の創作にもつながっていますか?
師事したオリヴィエ・メシアン先生から、「あなたは日本人、それはあなたにとってとても大きな宝物です」といわれたことが、今でも心に残っています。日本人が持つ、自然や四季に対する強い感性。僕は、そうしたものの影響を受けずには音を出せないんですね。また、日本を離れたことで、日本を客観的に見ることができたのも大きな学びでした。20代の大半をヨーロッパで過ごし、世界中の人と出会った、その経験が、今の僕をつくっていると思います。

賢治の「ことば」から立ち上がる、音の風景

──賢治の「ことば」を「音」にするとき、大切にされていることは?
賢治の言葉には、僕が音を探すときの感覚と通じるものがあります。色合いや光の加減、波動などを強く思い描いていくと、ある音が浮かんでくる。それは「憧れる力」によって生まれているのだと思います。賢治は、野原の草はきらきらと光る、空が光ってキインと鳴る、といった言葉を紡ぐ。その感性を大切にしています。彼の作品は、とても音楽的なんですよね。

──前回、賢治の作品を軸にしたコンサートを上演してみて、どのように感じられましたか。
「ことば」と「音楽」の、こういう出会い方って素晴らしいなと感じました。言葉が主役で音楽が脇役、あるいはその逆ということは多いと思います。でも、このコンサートでは、どちらも主役なんです。賢治の言葉から想像できる風景や情景と、僕の音楽から見えてくる世界が、お互いに響き合っている。それが、この作品を好きだなと思える理由です。

1988年の「Kenji」から、新たな旅へ

──今回のコンサートの原点には、1988年の「Kenji」があるそうですね。
はい。もともとは「Kenji」という作品がベースになっています。しばらくレパートリーから外れていましたが、僕の心のなかでは、とても大切にしていた作品です。2023年のデビュー50周年を経て、2024年のツアーでリバイバル版として部分的に編曲や改作をし、再び賢治をテーマに取り上げました。古い作品なので、ちゃんとできるか不安もあったんですが、実際に演奏してみると、当初感じた音楽の美しさは健在でした。音楽というのは、年をとらないんだなと実感しましたね。

その瞬間にしか生まれない「音」を、心の時間に残したい

――最後に、楽しみにしている皆様へメッセージをお願いします。
賢治の言葉や世界と、僕の音楽の世界が、お互いに触発し合って共鳴し、より豊かに響くことで、爽やかで深い感動を届けたいと思っています。ライブには、そのときでしか生まれないものがあります。その瞬間にしか生まれない強い印象を、その人の時間のなかに残していきたい。ほかにはあまりない形のコンサートですから、ぜひライブで感じていただきたいですね。第一部では、久しぶりに加古隆クァルテットだけで演奏し、僕の代表曲も聴いていただく予定です。見どころは満載ですので、ぜひ足を運んでください。

加古隆コンサート「銀河の旅びと~宮沢賢治と私」

●第1部「加古隆クァルテット~パリは燃えているか~」
パリは燃えているか、白い巨塔、黄昏のワルツ、 アヴェ・マリア、それぞれの海、ハ短調「幻影」、他
●第2部「賢治から聴こえる音楽」
「永訣の朝」「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」他
※演奏予定曲目(演奏曲目は変更になる場合がございます。)

出演/
加古隆クァルテット:
加古 隆 (Pf.)・相川麻里子 (Vn.)・南かおり (Va.)・植木昭雄 (Vc.)
Vc.:奥泉貴圭 大阪(11/7)、盛岡
朗読:加古臨王(第2部のみ)
※チェロ奏者は、以下の担当になります。
神奈川(11/14)・東大阪(12/12)・・・植木昭雄
大阪(11/7)・岩手公演(11/28)・・・奥泉貴圭
 
【大阪公演】
2026年11月7日(土) 開演14時 (開場13時30分)
住友生命いずみホール
7700円(全席指定/税込価格/未就学児童不可)
問い合わせ:0570-200-888 (キョードーインフォメーション)

【神奈川公演】
2026年11月14日(土) 開演14時 (開場13時30分)
神奈川県立音楽堂
7700円(全席指定/税込価格/未就学児童不可)
問い合わせ:045-671-9911(キョードー横浜)

【岩手公演】
2026年11月28日(土) 開演14時 (開場13時15分)
盛岡市民文化ホール 大ホール
7700円(全席指定/税込価格/未就学児童不可)
問い合わせ:022-217-7788(キョードー東北)

【大阪公演】
2026年12月12日(土) 開演14時(開場13時30分)
東大阪市文化創造館 小ホール
7700円(全席指定/税込価格/未就学児童不可)
問い合わせ:0570-200-888(キョードーインフォメーション) 

公式ホームページ:https://takashikako.com/

加古 隆(かこ・たかし)


1947年、大阪府生まれ。東京芸術大学・大学院作曲研究室修了後、71年フランス政府給費留学生として渡仏。パリ国立高等音楽院にて、現代音楽の巨匠オリヴィエ・メシアンに師事、76年作曲賞(Prix de Composition)を得て卒業。在学中の73年にパリで即興ピアニストとしてデビュー。79年、日本人として初めてドイツ・ECMレーベルから『パラドックス』を全世界発売。代表作に、パウル・クレーの絵の印象から作曲したピアノ組曲「クレー」、NHKスペシャル「映像の世紀」のテーマ曲「パリは燃えているか」がある。98年モントリオール世界映画祭のグランプリ作品、マリオン・ハンセル監督「The Quarry」の音楽で最優秀芸術貢献賞受賞。国内でも、毎日映画コンクールの音楽賞【小泉堯史監督「阿弥陀堂だより」(2002年)「博士の愛した数式」(06年)】、日本アカデミー賞優秀音楽賞【杉田成道監督「最後の忠臣蔵」(10年)、小泉堯史監督「阿弥陀堂だより」「蜩ノ記」(14年)、木村大作監督「散り椿」(18年)】など受賞。16年、(第68回)日本放送協会 放送文化賞を受賞。23年、パリ・デビューから50周年の記念アルバムとして、自選映像音楽集『KAKO DÉBUT 50』(avex-CLASSICS)発表。

撮影/GEKKO

  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 10 / 06

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

家庭画報ショッピングサロンのおすすめ
※外部サイト(家庭画報ショッピングサロン)に遷移します。 ※商品の購入には家庭画報ショッピングサロンの会員登録が必要です。

Pick up

注目記事
家庭画報ショッピングサロンのおすすめ
※外部サイト(家庭画報ショッピングサロン)に遷移します。 ※商品の購入には家庭画報ショッピングサロンの会員登録が必要です。
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 10 / 06

他の星座を見る