エンターテインメント

舞台『リア王-KING LEAR-』主演 内野聖陽さんインタビュー 「老いることは果たして悲劇なのか?」

2026.09.18

  • facebook
  • line
  • twitter

「老い、相続、家族関係……誰もが自分と重ねる部分があるはず」

演じる役によってがらりと雰囲気の変わる内野さん。髭は今作の役づくりのため。「付け髭が苦手なので一生懸命生やしているところです」。

時を超えて現代人に突きつけられるテーマ

シェイクスピア四大悲劇の一つに数えられる『リア王』。老境を迎える王が3人の娘たちに領土を譲ろうとする中で、すべてを失い狂乱に至る物語です。内野聖陽さん扮するリア王が、東京芸術劇場の近代的な建物の前に立つポスタービジュアルは、遥か長い時を経てリア王が現代に降り立ったかのような印象です。

「老いとか健康寿命とか相続とか、現代を生きる我々に訴えかけるいろいろなメッセージが詰まっていて、惹きつけられる作品です。僕自身、プレ・シニアと呼ばれる年齢になり、実際に親の介護も身近になり、明日はもう自分の問題だという年代に差し掛かってきている中で、すごく興味があるテーマなので、その部分がうまく出せればと思っています」

父のために苦言を呈した三女コーディリアに激怒し、勘当してしまう、リア。


「親子って一番わかり合っているようで一番遠い。数年前から“毒親”という言葉を耳にするようになりましたが、甘い言葉しか耳に入らなくなり判断力を失ったリアは、一種の毒親。すごく身につまされます。本来が愚かである人間のまさにその愚かさを体現しているところが面白いと思っていて、そこを容赦なく表現したいですね。等身大の世界ではありませんが、どう説得力を持たせるか稽古の中で考えていきたいと思っています」

老境の王の役を50代で演じるにあたって、考えることも。

「ちょっと早いのでは?とおっしゃる方もいましたが、嵐を自分の中に呼び込んでその嵐と戦うような役なので凄まじいエネルギーがいるんです。ですから本当のおじいちゃんになってからでは演じるのはなかなか難しいかもしれません。それに娘たちの年齢から考えると、リアは実はそこまで老人ではないのかもしれない。作品が描かれた時代とは平均寿命が違いますから、初演当時は40代でもう老人の入り口だったのかもしれませんね」

長女と次女に裏切られ、狂乱していくリア王。悲劇を演じると稽古や舞台を離れても役をひきずるタイプの俳優もいますが、内野さんは普段の生活ではニュートラルな気持ちでありたいと語ります。

「気分転換が下手なので、オフのときは誰かに外に引っ張り出してもらいたい、というのはありますね。友達に誘われればキャンプに行ったりもします。でも、そもそもこの作品を“悲劇”と決めつけてよいのかという問題はあります。確かに血で血を洗う争いが繰り広げられリアは絶望の中で死んでいく物語ですが、老いとともに頭の働きが鈍っていくことを果たして“不幸”と捉えてしまってよいのだろうか? もしかすると“愛”というものでひっくるめれば“幸福劇”といえるのかもしれない。そんな見方も捨てずにアプローチしてみたいと思います」

撮影/筒井義昭 スタイリング/中川原 寛 ヘア&メイク/佐藤裕子 取材・文/清水井朋子

  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 09 / 18

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

Pick up

注目記事
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2026 / 09 / 18

他の星座を見る