今、シティポップをはじめとする日本の音楽が、世界の若者たちから熱狂的な支持を集めています。家庭画報2026年10月号よりスタートした、ホットなジャパニーズカルチャーをご紹介する“
gaho JAPAN”第1回目より、
高中正義さん、杏里さんの日本語版インタビューをお届けします。
北米公演で人気を証明した
“シティポップの女王”

杏里 ANRI
神奈川県大和市出身。アーティスト、シンガーソングライター。1978年17歳でデビュー。初のレコーディングはアメリカ・ロサンゼルス。ファッションアイコンとしても支持が高い。心に残るメロディーと圧巻のパフォーマンス、清浄な声の力で、シティポップの中心的なアーティストとして世界各国にファン多数。アルバム『Timely!!』全楽曲のSpotify再生合計回数は約3億回に迫る。ハワイではこれまで7回公演を行い、国内外で精力的にライブ活動に取り組む。
『City Pop Waves:ANRI LIVE 2026 U.S.A Timely‼︎』のニューヨーク&ロサンゼルス公演はいかがでしたか?
2026年5月17日にニューヨーク公演、20日と21日にロサンゼルス公演を行ったのですが、想像を超えた反響をいただきました。最初のライブ会場となったニューヨークの「ブルックリン・パラマウント」は歴史ある名門劇場。世界中からエンターテインメントを志す人々が集まる場所なので、リスナーの目も耳もハイレベルです。ニューヨークでは初の単独公演ということもあり、さすがに緊張しましたが、ステージに登場した瞬間から大歓声。チーム杏里のスタッフ皆が半年間かけて、献身的に準備に取り組んでくれたおかげで、会場と一体感を味わえた最高のステージになりました。今までに経験したことのない、言葉にならないほどの感動を味わうことができ、観客とスタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。
ロサンゼルス公演では5月21日の追加公演も即完売だったとのこと。今回、観客の反応で印象的なことがあったらお聞かせください。
皆さんの熱烈な歓迎に、こちらも胸が熱くなりました。朝の4時から会場に並んでくださったファンの方がいらっしゃったり、すべての楽曲を歌ってくださったり。今回は角松敏生さんプロデュースのアルバム『Timely!!』からの曲を中心に構成したのですが、リスナーの皆さんがアルバムそのものを愛して、聴き込んで来てくださっていることが伝わってきました。どの曲を歌っても、サックスソロやギター、ピアノフレーズの細部まで完璧に把握されているんです。ソールドアウトを記念して、会場側から“Sold Out Plate”をいただけたことも感動でした。
唯一困ったのは歓声があまりにすごくて、イヤモニがほぼ聞こえなかったこと。今後の改善に向けていい経験になりました(笑)。
「世界中の人々が楽しんでいるシティポップ。日本発の音楽が受け入れられていることを誇らしく思いました」

今回の公演はツアータイトルにもなっている名盤『Timely!!』を軸に選曲。多くの楽曲が海外リスナーに愛されていることが杏里さんの強みといえる。ダンサブルな曲の魅力や、杏里さんの心に染み渡るパワフルな歌声が相まって、会場の熱量がヒートアップ!写真は、MUSIC AWARDS JAPAN 2026のライブより。
20代、30代の音楽ファンを中心に、世界でシティポップ人気が続いています。海外公演を経た今、その人気をどう思われますか?
海外リスナーの方々の熱い反応で、シティポップが日本発の音楽ジャンルとして世界中に認知されているのだと実感でき、誇らしい気持ちになりました。ただ、ツアータイトルにもなっている『Timely!!』のプロデュースを手がけてくれた角松敏生さんと一緒にアルバムを制作していた当時、私たちはシティポップだと思って作ってはいなかったんです。なので、“シティポップの女王”といわれることに、正直戸惑う気持ちもありました。でももうここまでいくと、日本のいちカルチャーとして世界中の方々が支持してくださっていることを認めざるを得ません。一過性のムーブメントで終わるのではなく、歌謡曲やニューミュージックと同様、時代とともに生まれたジャンルなのだと、今は思っています。
日本の音楽に対して世界の注目度が高まっているといわれています。今後、世界で愛されそうな日本の音楽ジャンルなどについてお聞かせください。シティポップの人気をきっかけに、日本の魅力的なアーティストや音楽が世界で知られるのは素晴らしいことです。日本の観客はコンサートで歌をしっかり聴いてくださいますが、海外の観客は踊ったり歌ったり、積極的に参加して楽しむので、初めて海外で公演すると文化の違いに驚かれるかもしれませんね。海外ではバーが設置されている会場が多いのも、観客の盛り上がりに影響していると思います。「東京スカパラダイスオーケストラ」や「CASIOPEA」などはすでに世界で人気ですが、レベルの高い日本の楽器系、インストゥルメンタル音楽は、曲の魅力とパフォーマンスで会場での一体感が強いので、海外リスナーと相性がよい気がします。SNSなどを通じて、日本の音楽への注目度が高まり、さらに世界へ広がっていくといいですね。
言葉の壁や国境、時代を超えて活動を続けられていますが、杏里さんが思われる音楽の魅力と、これからの音楽活動についてお聞かせください。世界情勢が混沌としたこんな時代だからこそ、音楽が必要だと信じています。音楽で不幸になる人はいませんから。体に障害がある方でも音や振動で楽しんでくださる。チンパンジーが演奏をして意思表示する行動を確認したという京都大学の研究が、2026年6月、アメリカの学術誌に発表されましたが、音楽は種族さえ超えて幸福感をもたらす存在なのだと思います。
「夢は現実」というのが私の信念ですが、国境を超えて人々が笑顔で共有し合えるような、心を穏やかにする音楽をこれからも作り続けていきます。
ANLI Live 2026 Haven Beach
9月6日(日)の東京でのライブを皮切りに、2026年12月13日(日)まで全15公演が決定
東京公演:2026年10月24日(土)SGC HALL有明
杏里オフィシャルサイト:
https://anri-music.com