今、シティポップをはじめとする日本の音楽が、世界の若者たちから熱狂的な支持を集めています。家庭画報2026年10月号よりスタートした、ホットなジャパニーズカルチャーをご紹介する“
gaho JAPAN”第1回目より、高中正義さん、
杏里さんの日本語版インタビューをお届けします。
「“TAKANAKA”コールが鳴り響く中、ステージに迎えられたときは、夢の中にいるような感覚でした」
デビュー55周年、ソロデビュー50周年、
2026年も世界での快進撃が続く

高中正義さん
1953年東京都生まれ。ギタリスト、作曲家。高校時代から作曲を始め、71年「フライド・エッグ」でプロデビュー後、「サディスティック・ミカ・バンド」、「サディスティックス」でも活動。76年ソロアルバム『SEYCHELLES』発売。SNSを通じ唯一無二のギターとメロディで世界を席巻中。2026年8月、『Palace Bowl Presents City Pop Waves』(ロンドン開催)にヘッドライナーで登場。9月〜27年2月末、国内各地で全19公演を予定。
日本のロック界・フュージョン界を代表するカリスマギタリスト、高中正義さん。今、世界中の音楽好きな若者たちが、その唯一無二の音楽とギタープレイに夢中です。特別インタビューでは、お茶目さを垣間見せながら、現在の心境を語ってくださいました。
2025年のロサンゼルス公演、26年春のワールドツアーなどでの熱狂的な反応をどう感じていますか?2025年に、ロサンゼルスで30年ぶりの公演を行ったのですが、観客の皆さんの熱烈な反応に心底驚きました。公演の開始時間まで楽屋で準備をしていたら、外で待っているお客さんたちの熱気が伝わってくるんです。人気が高まっていると聞いてはいたものの、実感を持てずに訪れていたので、こんなに楽しみにしてくれているのか、と嬉しかったですね。26年春には「TAKANAKA SUPER WORLD LIVE2026」を展開しました。3月31日のロンドン公演から始まって、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シドニー、メルボルン、そして4月29日のオークランド公演まで、8か所13会場を回ってきたのですが、どこに行っても“TAKANAKA”コールが鳴り響く大歓声の中、ステージに迎えてもらえたんです。とても現実のこととは思えなくて、夢の中にいるような感覚でした。もう海外に行く機会もないだろうとパスポートを捨てたときには、まさか70代に入ってから、こんなに頻繁に海外へ出向くことになるとは思いませんでした(笑)。
僕は今73歳で、日本では僕が20代の頃から観続けてくださって、ともに時代を生きてきたお客さんも多いのですが、海外はSNSを通じて最近、僕の音楽を知ってくれた20代、30代が主流だからか、若いパワーがすごいんです。10代の子たちも公演に来てくれますしね。あまりに楽しくなってしまった観客が客席にビーチボールを投げ入れて、観客同士で打ち返し合ったりね。日本では考えられない(笑)。僕のステージ衣装に合わせて、赤いジャケットを着ている人もちらほらいます。僕の音楽の中で、全身全霊で遊ぼうとライブに来ているのかもしれないですね。
高中さんのトレードマークでもある、重さ7キロの“サーフボードギター”が登場すると、海外リスナーも大興奮。数個のギターを使い分け、ステージ上を自由自在に動く高中さんのギタープレイスタイルが、さらなる熱狂を呼ぶ。シドニー公演にて。
音楽活動の原点、原動力について、改めてお聞かせください。
自分にしかできない曲をと思い、作曲を始めた高校生の頃から南の島への憧れがあったんです。初めてハワイに行って海を見たときは「地球上にこんなに綺麗な海があるのか」と、本当に感動しました。23歳のときに発表した僕のソロデビューアルバムは、『SEYCHELLES』というタイトルなのですが、あるとき新幹線で移動中に車内雑誌をパラパラと見ていたら、「インド洋に浮かぶ最後の楽園」としてセーシェル諸島が紹介されていたんです。それまで知らなかった島なので、名前の響きと海の美しさがとにかく新鮮で。そのときのインスピレーションに従って、タイトル名にしました。
アルバム発売当時の1976年頃は、ベートーヴェンの「運命」までもディスコ調にアレンジされるほど、空前のディスコブームでした。ちょっと食傷気味だった僕にはラテン音楽がとても新鮮に感じて、「今、僕がやっていくならこの方向性だな」と。自分はスティーヴィー・ワンダーほど歌が上手くないということもわかったので、歌で勝負するわけにはいかず(笑)。大好きなギターで歌のように心に残るメロディー、まるで歌っているかのように聴こえるギターを追求していきたいと思ったんですよね。僕はやっぱり、ビートルズのイントロで流れるギターのように、綺麗なメロディーが好きだから。ソロデビューから50年、その思いで曲を作り、弾き続けて今に至ります。
1975年10月に「サディスティック・ミカ・バンド」としてイギリスでギグを行って以来、50年越しとなった世界進出への思いを聞かせてください。
僕は、加藤和彦さんを中心に結成された『サディスティック・ミカ・バンド』のメンバーだったのですが、1973年にリリースした1stアルバム「サディスティック・ミカ・バンド」をイギリスでも発売したところ、日本以上に評判がよかったんです。アルバムを聴いて評価してくれたイギリスの音楽プロデューサー、クリス・トーマスと2ndアルバム『黒船』を制作し、74年11月に発売。75年10月には、「ロキシー・ミュージック」のイギリスツアーのオープニングアクトを務めたんです。
当時ももちろん、「世界で通用したい!」と皆で目標を立て、3枚目のアルバムを出すと同時に、プロモーション活動や凱旋ツアーの計画も予定されていました。でも帰国後すぐに、「サディスティック・ミカ・バンド」が解散してしまったので、その流れは断念せざるを得ず。せっかくのチャンスだったので残念でした。レコードを海外に輸出・販売するのは非常に難しい時代でしたね。
それが今では自分の音楽がSNSであっという間に広がって、国境を軽々超えていく。2024年12月に行った中国・上海での公演で、「渚・モデラート」のピアノイントロが始まった途端の大歓声は「ああ、この曲を本当に知ってくれている。国境を超えて受け入れられているんだな」と、感動の瞬間でした。一生忘れられないですね。
26年春に欧州、北米、豪州、ニュージーランドを回ったワールドツアーでも、全13公演がソールドアウト。正直、今もまだ、夢の続きを見ている気持ちです。このインタビューもすべて、幸せな夢だったりして(笑)。
高中さんにとっての、いい音、いい音楽はどのようなものでしょう?
自己陶酔できる音です。その音を出すために、チューニングを細やかにしっかり合わせています。パフォーマンスを確認するため、毎回コンサートのたびに録音して、公演日当日の夜寝るときに必ず流しています。聴きながら酔えるぐらい、いい音を出せていたら、もう本当に幸せ。自画自賛しつつ、ニコニコで眠りにつきます。もちろん、ときには細かな失敗もありますよ。そんな夜は気になった箇所をメモしておいて、翌日バンドメンバーに連絡して再調整します。
あるピアニストの方に「高中が弾くと太陽が見えるよ」と嬉しい言葉をもらったことがありますが、そのためには作曲時の心境が大事。「BLUE LAGOON」(1979年)は、都会の狭いマンションにいたとき、南の島へ行きたいという猛烈な憧れを胸に抱きながら作った一曲でした。僕にとっては、憧れが曲作りの原動力ですね。
そして、デビューしてから僕がずっと心がけているのが、オリジナルと同じフレーズで弾くこと。その昔、彼女と湘南をドライブしながら流していた僕の曲を聴きたくてコンサートに来てくれたお客さんが、当時と同じギターを聴けたら一気に青春を思い出せるでしょ? アレンジを崩して弾いてみたくなる気持ちもわからなくはないけれど、昔のままの音色のほうがお客さんは嬉しいのではないかな。青春は大切ですよ(笑)。常にハイレベルをキープして演奏するためにも、毎日筋トレを続けています。
バンドメンバーは、20代の頃から一緒にやっているパーカッションの斉藤ノヴさんをはじめ、気心知れた仲間たち。これからも、彼らと一緒にオリジナルを変えずにやっていくことが大事だと思っています。
2025年ワールドツアーのロサンゼルス公演にて。少しでもステージに近いスタンディング場所を確保しようと、早くから並ぶ大勢の観客たちの姿が見受けられた。待ち侘びる観客の興奮が、控え室にまで届いていたという。

高中さんの音楽を愛する若者たちへのメッセージをお願いします。
僕から伝えられるような、特別なメッセージはないんですけれどね。一度きりの人生、何をするにしても、やはり好きなことを楽しくやるのが一番だと思います。僕は、ビートルズやベンチャーズへの憧れが高じて、音楽を始め、高校時代にデビューしました。大学の入学金の代わりにギターアンプを買ってほしいと親父に頼み込んで、今に繫がっています。そこから本格的に音楽の道に進んだわけですが、自分が20代のときに作った音楽が50年も経って、世界で20代の若者たちに受け入れられているという不思議。でも、世界から注目されるようになったのが今でよかったと、心から思っているんです。ソロアルバムを出したときに今のような現象が起きていたら、23歳が僕の人生のピークになってしまう(笑)。
実は、「BLUE LAGOON 」を出してヒットを飛ばした後も、親父には就職をすすめられていました(笑)。それなりに売れていたのですが、状況をあまりわかっていなかったのかもしれませんね。ふと、ギター以外なら何をしたいか?と考えてみたときに、お酒を飲むのも好きだから、ギターが上手くいかなかったらバーテンダーかなと思ったんですよ。トム・クルーズが主演した映画『カクテル』(1988年公開)の影響もあり、いっときバーテンダーの練習をしてみたのですが、難しくて無理でした(笑)。歌で勝負するのも厳しいし……僕にはギターしかないんだなと。大切な自分の一生ですから、好きなこと、やりたいことを楽しく長く続けていく人生が、やはりいいですよね。
ロンドン公演を完全収録したBlu-rayが発売中
2026年4月に英国・ロンドンの歴史ある名門ライブ会場「O2 Academy Brixton」にて開催されたツアー公演の模様を完全収録したBlu-rayがリリースされた。チケットは発売後即完売。5000人の観客の熱狂に満ちたライブが味わえる。「BLUE LAGOON」、「RADIO RIO」、「JUNGLE JANE」、「SHAKE IT」など、ほか全18曲を収録。

Super Takanaka Live 2026-2027 開催!
9月18日(金)の東京でのライブを皮切りに、2027年2月28日(日)まで全19公演が決定
東京公演:2026年9月18日(金) かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール
高中正義オフィシャルサイト:https://takanaka.com