東で、西で、大活躍の種太郎さんと秀乃介さん
歌昇さんの長男・種太郎さんは現在、5年生。次男の秀乃介さんは2年生。
「ありがたいことに子どもたちは今、いろいろな先輩方にお声をかけていただいて舞台出演が続いています。播磨屋という屋号を背負っているからには、お芝居に真摯に向き合い、皆さんの思いに応え続けてほしいと、親としては思います」
その言葉の通り、この一年だけでも種太郎さんは7公演、秀乃介さんは8公演も舞台に立ち、確かなお芝居とお行儀のよさでどの役も絶賛されました。
毎月のように大きな役が続くのは大変ですか、と伺うと、
種太郎さん「僕たちは1ヶ月くらい前からお稽古を始めるのですが、最初の月のお舞台が始まる前に次の月のお稽古が始まってしまった時はちょっと大変でした」
秀乃介さん「僕はお芝居が好き。でも学校のお勉強が溜まっちゃうのは大変です」。
3月の『加賀見山再岩藤』では、盲目の少年、又助弟志賀市を演じた種太郎さん。劇中で琴を弾きながら歌う場面は大きな話題を集めました。
種太郎さん「前の月も『一谷嫩軍記 陣門・組打』のお舞台にでていたのですが、舞台の合間もお家でもお稽古を頑張りました」。
『加賀見山再岩藤』又助弟志賀市=中村種太郎(2026年3月歌舞伎座)🄫松竹
秀乃介さんは、6月の『裏表先代萩』では千松をつとめました。
「千松はじーっとしている場面が多いのが難しかったけれど、共演した尾上琴也さん(尾上流家元、尾上菊之丞さんの長男)とは楽屋でいっぱい遊べました」という秀乃介さんに、「僕は琴也さんとは学校のクラブ活動の合宿で一緒の部屋でした」と種太郎さん。共演する同世代との絆に、歌舞伎の未来が楽しみになります。
『裏表先代萩』千松=中村秀乃介(2026年4月歌舞伎座)🄫松竹
二人が声を揃えて思い出に残る役に挙げたのは、松竹座のさよなら公演となった5月の『近江源氏先陣館 盛綱陣屋』。
『近江源氏先陣館 盛綱陣屋』左/盛綱一子小三郎=中村秀乃介 右/高綱一子小四郎=中村種太郎(2026年5月大阪松竹座)🄫松竹
種太郎さん演じる小四郎は、敵を欺くために偽首を父の首だと言って後を追い腹を切るという、歌舞伎で子どもが演じる役の中でも屈指の難役。徐々に声が小さく弱くなって命が尽きていく場面では、満員の劇場で観客の涙を誘いました。
秀乃介さん演じる小三郎は、「鎧を着るお役が格好良くて嬉しかった」のだそう。
二人を見守る歌昇さんは、「吉右衛門のおじさまはご自分が楽屋にいらっしゃる時もモニターで僕らが舞台で台詞を言っているのを聞いてくださって、そこは違う、こうだよ、ああだよ、と、いつも細かく教えてくださいました。子どもたちが舞台に立たせていただくようになってみると、教えるってすごくエネルギーがいることなのだとあらためて感じています。怒るのだって、その人のためを思わないと怒れない。今となっては遅いのですが、おじさまがすごく熱を持って教えてくださっていたのだということを、日に日に思い返しています。本当に感謝しかありません」