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中村歌昇さん、種太郎さん、秀乃介さんインタビュー 秀山祭―バトンを受け継ぎ伝える使命

2026.09.01

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9月2日から歌舞伎座で幕を開く「秀山祭九月大歌舞伎」。播磨屋の一員として昼夜にわたって活躍する中村歌昇さんと、お稽古真っ最中の長男・種太郎さん、次男・秀乃介さんにお話を伺いました。

播磨屋にとって大切な「秀山祭」での研鑽と継承

明治から大正、昭和にかけて活躍した初代中村吉右衛門の芸をたたえ、その俳名「秀山」にちなんで2006年から行われてきた、秀山祭。

「初代吉右衛門の芸を顕彰しその功績を次の時代へと残す公演ですが、今となっては、この公演をはじめた二代目吉右衛門のおじさま(2021年に逝去)の功績を残すことも含めての秀山祭だと思うんです。僕などは初代さんの芸というのは限られた映像でしか知らないですが、二代目のおじさまには本当に手取り足取りたくさん教えていただきましたし、それを自分の子供たちに受け継いでいけるような公演になっていけば、という気持ちです」と、歌昇さん。

2006年の最初の秀山祭の昼の部最初の演目『菅原伝授手習鑑 車引』で杉王丸を演じて秀山祭の幕開きを飾って以来、秀山祭のすべての公演に出演してきた歌昇さん。二代目吉右衛門さんの芸に間近く触れた経験を、生涯の宝物だと語ります。


『双蝶々曲輪日記 角力場』濡髪長五郎=中村吉右衛門、放駒長吉=中村歌昇(2014年7月巡業公演)🄫松竹

『双蝶々曲輪日記 角力場』濡髪長五郎=中村吉右衛門、放駒長吉=中村歌昇(2014年7月巡業公演)🄫松竹


「忘れられないのが、歌昇を襲名した時の巡業公演での『双蝶々曲輪日記 角力場』。おじさまの濡髪長五郎に僕の放駒長吉で、初めておじさまと一対一で対峙する芝居でした。舞台の上のおじさまは、こんなに大きい人がいるんだ!という大きさで、その山に立ち向かっていくアリのような気持ちで毎日舞台に立っていました。公演の途中で調子をやって(喉を痛めて)しまった時も、聞こえ辛くてもいいからとにかくぶつかってきなさい、とおっしゃっていただいて。おじさまの台詞回しの素晴らしさは皆さんご存じと思いますが、役の心で台詞を言うことに根本がある、役の解像度が深いから多彩に聞こえるのだと学びました」。

もう一つ、印象に残っているのが『傾城反魂香 吃又』での共演。

「おじさまの浮世又平後に土佐又平光起で二回、修理之助をつとめさせていただきました。師匠に命じられた使者の役割を変わってくれ、とおじさまが僕にすがりつく場面では、おじさまの気迫が本当にすごくて、本当に又平そのもの。中村吉右衛門のエネルギーではなく又平のエネルギーがそこにあったのを覚えています。後にあらためておじさまに教えていただいて弟との自主公演「双蝶会」で僕が又平を演じさせていただいた時にも、思い出しながら演じました」

同じ舞台に立ち、いくつもの役を教えられた経験を今、少しずつ、子どもたちにも伝えていきたい、と歌昇さんは思いを語りました。

時代物の線の太い役から舞踊、新作まで、活躍が続いている歌昇さん。

時代物の線の太い役から舞踊、新作まで、活躍が続いている歌昇さん。


「よくインタビューなどで“播磨屋の芸とは?”と聞かれることがありますが、それを言語化するのは本当に難しい。でも、教えていただいたお役について、“おじさまはこういう気持ちで臨んでいらっしゃったよ”ということは子どもたちに伝えていけると思っています」

撮影/坂本正行(本誌) ヘア&メイク/金井那琉(Yolken) 取材・文/清水井朋子

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