エンターテインメント

八代目尾上菊五郎さん・菊之助さんが語る 襲名の日々と、これから 第二回

2026.06.08

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音羽屋に伝わる「新古演劇十種」への思い

2025年7月の大阪松竹座で上演された『土蜘』は、五代目菊五郎が制定した音羽屋の家の芸、「新古演劇十種」の一つです。

『土蜘』左・侍女胡蝶(尾上菊之助) 右・叡山の僧智籌実は土蜘の精(八代目尾上菊五郎) 2025年7月大阪松竹座 ©Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO

『土蜘』左・侍女胡蝶(尾上菊之助) 右・叡山の僧智籌実は土蜘の精(八代目尾上菊五郎) 2025年7月大阪松竹座
©Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO

「侍女胡蝶は、紅葉の情景を思い浮かべながら踊りなさい、と教わりました。お能のような衣裳と振りは初めての経験で、着るのも動くのも、ちょっと難しかったです。父が演じた土蜘の精が蜘蛛の糸をバーっと投げる場面は、いつか僕もやってみたいです」という菊之助さんに「ここでバラしていいですか?」と割って入った八代目菊五郎さん。

「岳父(二代目中村吉右衛門さん)が土蜘の精を演じた時の蜘蛛の糸の仕掛けを、妻が大事に保管していたんです。それを菊之助がバーっと投げちゃって‥‥。あの時は怒られたよね(笑)」と、まさかのリーク。


おすまししてインタビューを受けていた菊之助さんが一瞬、困った少年の顔になったのが印象的でした。

『土蜘』叡山の僧智籌実は土蜘の精(八代目尾上菊五郎) 2025年7月大阪松竹座 ©Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO

『土蜘』叡山の僧智籌実は土蜘の精(八代目尾上菊五郎) 2025年7月大阪松竹座
©Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO


6月の博多座で上演される『茨木』もまた、『土蜘』と同じく「新古演劇十種」の演目です。

「『土蜘』の蜘蛛の精に続いて、今度は鬼が登場します。「新古演劇十種」にはこうした“人ならざるもの”を扱う作品がいくつもあるのですが、化け物退治として淘汰されるのではなく、人間が見てしまった彼らの哀しみや人間の欲深さまでが、それぞれの立場から描かれているのが興味深いところです。自分とは異なる存在を排除するのではなく共生し相手を思いやる“人の心“は、日本人が大切にしてきたもの。『茨木』を通して、そんなことも感じていただけたらと思います」と八代目菊五郎さん。

実は「新古演劇十種」の中には現代では上演が途絶えてしまっている演目もあります。

「「新古演劇十種」をすべて復活させ演じていくのは、菊五郎を襲名しての目標の一つ」という八代目菊五郎さんに、「僕も一緒に復活したいです」と菊之助さん。

継承と創造の旅は、まだ始まったばかりです。

【公演情報】
尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露
六月博多座大歌舞伎
2026年6月2日(火)~22日(月)*8日(月)、16日(火)は休演
出演:八代目 尾上菊五郎、尾上菊之助 ほか
昼の部 午前11時~
一、寿式三番叟
二、菅原伝授手習鑑 車引
三、新古演劇十種の内 茨木
夜の部 午後3時45分~
一、ぢいさんばあさん
二、男伊達花廓
三、八代目 尾上菊五郎 六代目 尾上菊之助 襲名披露 口上
四、連獅子
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/896

尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
松竹大歌舞伎
2026年7月7日(火)~31日(金)
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/jyungyou/play/973

出演:八代目尾上菊五郎 ほか
一、上 雨の五郎
下 藤娘
二、八代目 尾上菊五郎 襲名披露 口上
三、魚屋宗五郎
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/jyungyou/play/973

撮影/鍋島徳恭 取材・文/清水井朋子

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