昨年5月の歌舞伎座からスタートした八代目尾上菊五郎・六代目尾上菊之助襲名披露。
公演は名古屋御園座、大阪松竹座、京都南座を経て、2026年6月の博多座、7月の全国巡業へと続いています。
写真家・鍋島徳恭さんの撮り下ろし写真とともに、お二人が公演を振り返り、その先に続く未来への思いを語る短期集中連載。
第二回は、父から子へと受け継ぐ芸と心について伺います。
音羽屋の家の芸「弁天小僧菊之助」
『弁天娘女男白浪』の「弁天小僧菊之助。呉服屋を訪れた振袖姿のお嬢さんが実は男だと正体を見破られて「知らざあ言って聞かせやしょう」と放つ啖呵は、歌舞伎きっての名台詞、名場面。
2026年5月の歌舞伎座での襲名披露公演でも、八代目菊五郎さんに拍手と大向こうが降り注ぎました。
「弁天小僧菊之助は、音羽屋にとって大切な役。幼いときに父(七代目菊五郎さん)の弁天に憧れ、私自身もこれまで何度か勤めてきました。五代目菊五郎がつくり上げた演目ですが、当時は新作だったものが時代を超えて受け継がれ、歌舞伎の名作として愛されていることに、先祖への感謝と、これからも受け継いでいきたいという思いを新たにしました」と八代目菊五郎さん。
『弁天娘女男白浪 浜松屋見世先の場』での弁天小僧菊之助(八代目尾上菊五郎) 2025年5月歌舞伎座
©Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO
菊之助さんも、お父様やお祖父様が演じてきた弁天小僧菊之助は憧れ。台詞や所作を繰り返しなぞって真似してきたと言います。「小さい頃からずっと憧れていた役だったので、襲名披露公演で稲瀬川勢揃いの場を演じることができて、とても嬉しかったです」
『弁天娘女男白浪 稲瀬川勢揃いの場』での弁天小僧菊之助(尾上菊之助) 2025年5月歌舞伎座
©Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO
『稲瀬川勢揃いの場』では菊之助さんと同世代の歌舞伎俳優たちがずらりと舞台に並びました。
「眞秀くんや亀三郎くん、梅枝くんとはお正月の国立劇場などで共演してきましたが、新之助くんとは初めて。みんなで舞台に立てて思い出になりました」と菊之助さん。
歌舞伎の明るい未来を思わせる、素敵な場面でした。
『弁天娘女男白浪 稲瀬川勢揃いの場』左から・日本駄右衛門(市川新之助)。南郷力丸(尾上真秀)、赤星十三郎(中村梅枝)、忠信利平(坂東亀三郎)、弁天小僧菊之助(尾上菊之助) 2025年5月歌舞伎座
©Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO
そして5月の歌舞伎座千穐楽には菊之助さんの願いが叶って特別な演出が。「『弁天娘女男白浪 滑川土橋の場』は、捕手に追われ山門に逃げ込んだ日本駄右衛門(市川團十郎さん)と青砥左衛門藤綱(七代目菊五郎さん)、その手下の伊皿子七郎(八代目菊五郎さん)が対峙して幕となるのですが、菊之助が千穐楽だけその場面に出たい、と言い出して。共演する團十郎さんのお許しをいただいて、襲名披露の演目で、音羽屋三代の共演が実現しました」と八代目菊五郎さん。
『弁天娘女男白浪 滑川土橋の場』左から・伊皿子七郎(八代目尾上菊五郎)、青砥左衛門藤綱(七代目尾上菊五郎) 千穐楽のみ特別出演した尾上菊之助 2025年5月27日歌舞伎座
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