これから歩む芸の道を『連獅子』に託して
歌舞伎座での襲名披露公演のふた月目に上演された『連獅子』は、親獅子が仔獅子を谷へ突き落とし鍛えるという伝説から生まれた舞踊です。
「もちろん親子でない関係の役者同士で踊っても魅力的な演目ですが、親子愛を描いた作品ですので、お客様はこれから芸の高みをともに目指していく私たち親子を重ねてご覧になってくださるのかもしれません」と、八代目菊五郎さん。
『連獅子』左から・狂言師右近後に親獅子の精(八代目尾上菊五郎)、狂言師左近後に仔獅子の精(尾上菊之助)2025年6月歌舞伎座
©️Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO
振りはもちろん、親獅子と仔獅子が谷底の水面に映る姿を通してお互いを見つける場面でぴったりと視線が合うのも親子ならでは。
そして「翼なけれど飛び上がり、数丈の岩を難なくも、駈け上あがりたる勢いは、目覚ましくもまた、勇ましし」と、親獅子に突き落とされた谷底から駆け上がる仔獅子を鮮やかに踊った菊之助さん。お稽古でのお父様は、親獅子のように厳しかったのでしょうか?
「毎日毎日、舞台が終わった後も稽古してもらいました」という菊之助さんに「振りが合うのも大事なところではありますが、やはり心と心が通い合うことが親子で踊るこの演目の魅力だと思うので、よく稽古をいたしました。私も先輩方から厳しく稽古をつけていただいて今があるので」と、八代目菊五郎さんが言葉を添えます。
『連獅子』狂言師右近、左近から親獅子の精と仔獅子の精へと姿を変えて花道から出る前の鳥屋の中にて。2025年6月歌舞伎座
©️Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO
『連獅子』は、6月の博多座での襲名披露公演でも上演されます。
「最初に二人で踊ったのは、2023年9月の歌舞伎座での『秀山祭』でした。岳父の二代目中村吉右衛門の三回忌追善の公演でしたので、きっと岳父は孫の菊之助(当時丑之助)と踊りたかっただろうという思いを込めてつとめさせていただきました。あれから菊之助は心も身体も成長して、昨年5月の歌舞伎座では役になりきって踊ることを目指していたようです。博多座でも、そしてこれからも、ずっと一緒に踊っていきたいと思っています」と八代目菊五郎さん。
劇場でお披露目される襲名の祝幕に描かれた富士山のように、お二人はこれからも、さらなる高みを目指して芸の道を登り続けます。
『連獅子』左から・狂言師左近後に仔獅子の精(尾上菊之助)、狂言師右近後に親獅子の精(八代目尾上菊五郎)、2025年6月歌舞伎座
©️Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO
【公演情報】
尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露
六月博多座大歌舞伎
2026年6月2日(火)~22日(月)*8日(月)、16日(火)は休演
出演:八代目 尾上菊五郎、尾上菊之助 ほか
昼の部 午前11時~
一、寿式三番叟
二、菅原伝授手習鑑 車引
三、新古演劇十種の内 茨木
夜の部 午後3時45分~
一、ぢいさんばあさん
二、男伊達花廓
三、八代目 尾上菊五郎 六代目 尾上菊之助 襲名披露 口上
四、連獅子
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/896尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
松竹大歌舞伎
2026年7月7日(火)~31日(金)
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/jyungyou/play/973出演:八代目尾上菊五郎 ほか
一、上 雨の五郎
下 藤娘
二、八代目 尾上菊五郎 襲名披露 口上
三、魚屋宗五郎
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/jyungyou/play/973