『道成寺』にたくさんの思いを込めて
「私は菊之助時代に15歳で祖父の尾上梅幸、父の七代目菊五郎と『三人道成寺』を踊ったときが音羽屋の家に生まれたことを自覚する大きな転機になりました。その後、(坂東)玉三郎のお兄さんとの『二人道成寺』で歌詞や振りはもちろん女方としての心構えや、舞台に向き合う姿勢までをご指導いただいたことは、かけがえのない経験になりました。今回、倅と一緒に新しい名前を襲名する機会に、また玉三郎のお兄さんにご出演いただき『三人道成寺』を踊ることができたのは、私にとっても倅にとっても、本当に大切な時間になりました」と八代目菊五郎さん。
『京鹿子娘道成寺』白拍子花子(左から・尾上菊之助、八代目尾上菊五郎)2025年5月歌舞伎座
©️Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO
『京鹿子娘道成寺』は10月の名古屋 御園座でも、今度は八代目菊五郎さんと菊之助さんの『二人道成寺』として披露されました。
「二人で踊るときに振りや出番が少し変わりましたが、覚えるのはそんなに時間はかかりませんでした」。菊之助さん。
『京鹿子娘道成寺』では白拍子の花子が「引抜き」という技法でさまざまな衣裳に早変わりしながら恋の情景を踊ります。
「僕は“山尽くし”のところが好き」という菊之助さんに八代目菊五郎さんが「「末の松山いつか大江山」「恋路に通ふ間山」と山の名前を織り込んだ恋歌が繰り広げられる“山尽くし”は難しいのですが、それぞれのその山を見ながら曲全体を掴み、羯鼓(身体に付けて撥で打つ鼓)の音から足音まで含め自分の体すべてが楽器になるように踊れたらいいね、と話し合って踊りました」とお稽古の様子を教えてくれました。
『京鹿子娘道成寺』白拍子花子(手前から・尾上菊之助、八代目尾上菊五郎)2025年10月名古屋 御園座
©️Naruyasu Nabeshima/KATEIGAHO