〔特別インタビュー〕進み続けるピアニスト 角野 隼斗 飛躍の日々と現在地 世界を飛び回り、日々新しい顔を見せてくれる、ピアニストの角野隼斗さん。その快進撃は止まらず、活躍の場を多方面に広げています。圧倒的な観客動員数を誇るコンサートや、今年リリースされたばかりのセカンドアルバムへ込めたメッセージを通して、音楽観を語っていただきました。
角野隼斗(すみの・はやと)1995年千葉県生まれ。2018年ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、2020年東京大学総長大賞を受賞し、一躍注目を集める。2021年ショパン国際ピアノコンクールでセミファイナリストに。2025年レナード・バーンスタイン賞を受賞。オーパス・クラシック賞2025では史上初の2部門で受賞。2024年日本武道館で、クラシックピアニストとして史上最多1万3000人動員の単独公演を成功させた。
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クラシックの殿堂 カーネギーホールデビュー

ⓒChris Lee 「5階席まであるカーネギーホールでは、遠くまで音を届けたいという思いから自然と姿勢がよくなり、堂々としなければという感覚になりました」(角野さん)

ⓒChris Lee 自身の活動の集大成だったというカーネギーホールでの公演でも、曲によってアップライトピアノとグランドピアノを弾き分けるスタイルに喝采が湧いた。
Kアリーナ横浜での公演がギネス世界記録に認定

ⓒRyuya Amao バッハの平均律やショパンの楽曲に加えて、角野さん自身が編曲した楽曲などクラシックと現代音楽が融合したプログラムで、多くの観客の心をとらえた。

ⓒRyuya Amao Kアリーナ横浜初のクラシックコンサートであり、前例のない規模のソロ公演だった「Klassik Arena」。世界最多チケット販売枚数でギネス世界記録に認定。
クラシック音楽との架け橋になる作品やコンサートで多くの人を楽しませたい

角野さんの熱烈なファンが多いことは、公演後のサイン会が抽選であることからもわかる。
ライブ感を大切にした没入型のコンサート
クラシック音楽界の中でも、異例の観客動員数を誇る角野隼斗さんのコンサート。2025年11月には、その熱狂ぶりを裏づける2つのコンサートが開催されました。
一つは、「夢の舞台だった」と角野さんが語るニューヨークのカーネギーホールでのデビューリサイタルで、約2800席が完売し、大成功。もう一つは、Kアリーナ横浜で開催された「Klassik Arena」。1万8546枚を販売し、「屋内のソロピアノリサイタルで販売されたチケットの最多枚数」としてギネス世界記録に認定されました。
観客がクラシックファンに限らず、クラシックコンサートは初めてという人が多いことも特徴。今では、クラシック音楽の裾野を広げる立役者の地位を確立しています。
角野さんのコンサートチケットがたちまちソールドアウトする理由は、実際に体験してみるとよくわかります。一般のクラシックコンサートとは一線を画す工夫が随所に見られるからです。
開演前のロビーには、角野さんのポートレートとツーショットで撮影できるフォトスポットが用意され、コンサートは本人の軽妙なトークによる演目の解説付き。興が乗ってくれば予定外の曲を演奏する。アンコールでは、観客に演奏してほしい作曲家と音楽様式を尋ね、それを融合した曲を即興で弾くことも試みるという、エンターテインメント性に富んだプログラムになっているのです。
「クラシックコンサートはプログラムをしっかり決めて行うのが基本です。でも、コンサートは、生のダイレクトな観客とのコミュニケーション。僕はハイブリッド型を目指して、ライブだからこその自由度をもたせ、大体の方向性は事前に発表して、あとは当日どうなるかお楽しみの部分も残しておくというスタイルにしています」
独創的なアレンジと超絶技巧で多くの人を魅了する音楽を作り出す、繊細かつ大胆な手。
徹底的に“聴き手ファースト”である点こそ、角野隼斗ワールドの魅力。1月から3月にかけて開催された全国ツアーコンサートでは、新たな試みも行われました。初日を、オフィシャルファンクラブ「8810」の有料会員限定の貸し切り公演として長野・八ヶ岳高原音楽堂で迎えたのです。“わずか250席の奇跡”ともいわれた特別な時間には、大きな意味がありました。
「ツアーのテーマが、1月にリリースしたばかりのショパンから着想を得たアルバム『CHOPIN ORBIT(ショパン・オービット)』だったので、やっぱりショパンといえばサロンだよねと思ったんです。会場の名前は知っていましたが、限られた席数のため実際にコンサートで利用する機会はありませんでした。親密な空気がイメージにぴったりで、ちょうど雪が積もっていて自然の美しさも印象的でしたね」
(次回へ続く。
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