エンタメの力だからこそ成し得る解決方法もある
──芝居にかかわるさまざまな職種のスペシャリストたちが、菊之助を助ける物語には、現代の映画づくりの現場にも共通する部分がありそうです。渡辺 この作品は二重構造になっていて、仇討ちを目撃する人々は、もう一つの芝居の観客なんです。演じる側が本気でないと観客の心は動かせない。そういう意味では、普段僕らがやっていることにも近い気がしますね。
今、現実の世界って国と国との問題にしても、軋轢や分断が多いじゃないですか? でも、この物語の森田座の人間たちは、芝居というフィクションの力で、人を傷つけないで事を収めていく。そこに、僕ら俳優ができるかもしれないことのヒントを感じました。
仇討ちに挑む菊之助(長尾謙杜さん)と討たれる作兵衛(北村一輝さん)の間には、意外な真実が……。
柄本 意外な結末のネタバレになってしまうので、これ以上は映画館でご覧いただきたいのですが、芝居の力が生み出す物語の痛快さをお届けすることができたら嬉しいですね。
渡辺 謙(わたなべ・けん)1959年新潟県生まれ。演劇集団「円」の研究生時に受けたオーディションで合格し、蜷川幸雄演出の舞台『下谷万年町物語』に主演。映画『ラストサムライ』『明日の記憶』『硫黄島からの手紙』『沈まぬ太陽』『インセプション』『怒り』、舞台『王様と私』など、国内外で活躍。
柄本 佑(えもと・たすく)1986年東京都生まれ。2003年、主演映画『美しい夏キリシマ』でデビュー。ほか主な主演作に映画『17歳の風景 少年は何を見たのか』『素敵なダイナマイトスキャンダル』『きみの鳥はうたえる』『ポルトの恋人たち 時の記憶』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』『火口のふたり』、NHK大河ドラマ『光る君へ』など。
映画『木挽町のあだ討ち』
Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 Ⓒ2023 永井紗耶子/新潮社
雪の夜、木挽町の芝居小屋「森田座」近くで美しい若衆・菊之助が果たした仇討ちの裏に隠された真実とは? 立作者・篠田金治はじめ芝居町の人々の秘密に、田舎侍・加瀬総一郎が迫っていく。
全国公開中
配給/東映
原作/永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮文庫刊)
監督・脚本/源 孝志
出演/柄本 佑 渡辺 謙 長尾謙杜 北村一輝ほか
URL:
https://www.kobikicho-movie.jp/渡辺さん・衣装/ブルネロ クチネリ(ブルネロ クチネリ ジャパン)時計/カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)