累計発行部数1160万部を誇る北方謙三「大水滸伝」シリーズ。

未だかつて映像化されていなかった『水滸伝』が、織田裕二さん、反町隆史さん、亀梨和也さんといった豪華キャストを迎え、圧巻の映像美とスケールでついに登場します。北宋末期、梁山泊に集い、世の理不尽に抗うべく命を賭して戦った名もなき漢(おとこ)たち。史実がモチーフの人間ドラマを演じた織田さん、反町さん、亀梨さんが、作品や役への思い、印象的な撮影などを熱く語ってくださいました。
閉塞感が漂う現代の情勢と通じる作品の世界観
「40年役者をやってきたなかで、最も過酷なシーンがありました」織田さん
「誰かのために、志を持って生き抜く林冲に共感しました」亀梨さん
「洞窟の撮影では演じた晁蓋の思いを体感できて、ありがたかった」反町さん
──最初に、作品とご自身の役の印象をお聞かせください。織田裕二さん(以下、織田) 中国の三大奇書といわれる『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』のうち、『水滸伝』だけ読んだことがなかったんです。まず、その点で興味を持ちました。僕は正義を信じて世直しのために現状を打破すべく立ち上がった、下級役人の宋江(そうこう)を演じたのですが、描かれている時代背景が「なんだか閉塞感があって居心地が悪いよね」と皆が思いながらも、なんとなく諦めてしまっている今の世界情勢とどこか通じる気がして。そんな中、声を上げる漢気にも惹かれました。監督が映画『ホワイトアウト』などでご一緒した若松節朗さんなので、今作るべき作品として僕に声をかけてくださった意味があるに違いない。そう思えたのも参加を決めた理由です。
世を憂えた宋江(織田さん)が世直しの書『替天行道(たいてんぎょうどう)』を記し、事態が動きだす。
亀梨和也さん(以下、亀梨) 僕が演じた林冲(りんちゅう)は天下稀代の槍使いなのですが、愛する者を国家の策略で失った悲しい過去を持っています。多くのものを背負い、人としての痛みや弱さを抱えながらも、誰かのために志を持って生き抜く姿に共感を覚えました。あと、作品が放つスピード感。迫力があるんですよね。自分が出ていないシーンであっても惹きつけられます。
反町隆史さん(以下、反町) 作品の壮大なスケール感と男たちの熱い生き様は圧巻ですよね。僕が演じた晁蓋(ちょうがい)は叛逆(はんぎゃく)の英雄なのですが、人に優しく人望が厚い義に生きる男。宋江と二人、梁山泊の頭領として率いる展開は見応えがあると思います。
──ご自分の役で、忘れられない撮影シーンはありますか?亀梨 撮影序盤は常に雪の中、山の中、牢獄の中にいまして。困難を極めた状況下での撮影が続いたのですが、特に、誰も歩いていないまっさらな雪の上を3人でかき分けて歩く山のシーンは壮絶でした。8分くらいの長回しで撮っていたのですが、絶対そんなに長くは使わないですよね?(笑)
織田 若松監督の洗礼を浴びたね(笑)。でも、映画『ホワイトアウト』で経験したから、監督の狙いがなんとなくわかる。ちっぽけな存在の人間が、大自然で極限まで追い込まれた姿を見せたかったはず。場所の力ってあるからね。
亀梨 本当にそう思います。体で感じて役とシンクロできた、とても貴重な経験でした。でも、セリフがたくさんある場面よりも、ト書きに1行「雪山を歩く」と書かれているだけのシーンのほうが大変だったような?台本には結構、騙されました(笑)。
織田 8分全部使ってもらおう(笑)。
反町 僕は洞窟の撮影ですね。昔、石切場だった、とてつもなく広大な場所なのですが、これがなかなかに過酷でした。でも、晁蓋の思いをその場で感じながら、リアルに芝居ができるという体験は、演じるうえで本当にありがたかった。一生忘れないと思います。
織田 40年ほど役者をやってきましたが、石切場での撮影は本当に厳しかった(苦笑)。暗くて昼も夜もわからないし、寒いし、電波も入らない。晁蓋のほうがセリフが多かったから、もっと大変だったと思います。でも、その場に行ったら、あるシーンのアイディアが閃いたんです。セットでは作れない、自然からの力にも後押しされたんだろうなあ。心に残るシーンはほかにもたくさんありました。でも僕の中での一番は、ある少女との出会いかな。第1話に出てくるエピソードなのですが、下級役人として実直に生きてきた宋江が、腐敗した北宋を倒す決意を固めるきっかけになる大事な話です。
反町 あれはいいシーンでしたよね。
「ご自分が演じた役柄に、ひと言声をかけるとしたら?」の答えは三者三様。「宋江、辛くても笑顔を忘れないで」(織田さん)、「林冲、一瞬一瞬を大切に生きるんだよ」(亀梨さん)、「洞窟は寒かっただろう、晁蓋?」(反町さん)。