エンターテインメント

世界遺産・薬師寺奉納行事 八神純子【後編】歌い手としての理想像や目標について語ります

2026.03.09

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世界遺産・薬師寺奉納行事 八神純子―魂の歌― 後編 午後には柔らかな秋の日差しが差し込んでいた奈良・薬師寺東塔前に特設されたステージ。コンサートの開始直前から時雨模様になったものの「歌を届けたい」という熱意が天にも通じたのか、終盤には月や星が輝く夜空となる中、シンガーソングライターの八神純子さんが奉納行事を行いました。「第二の音楽人生」真っ最中という八神さんに、歌への思いなどについて語っていただきました。・前編の記事はこちら→ 

私はアーティストというより、歌い手。心を突き抜ける歌を歌える人でありたい

開演前、回廊にて東塔に臨む八神さん。「雨になってしまいましたが、幻想的な奉納行事は私にも忘れられない時間になりました」。

開演前、回廊にて東塔に臨む八神さん。「雨になってしまいましたが、幻想的な奉納行事は私にも忘れられない時間になりました」。

自分が歌いたい曲を作って歌い、皆様に届けたい

──その思いがコンサートツアー『キミの街へ』に繫がったんですね。

八神 支援活動を通じて、どんな小さな街にも待っていてくれる方がいると確信できたので、全国各地を巡り歌声を届けるツアー『キミの街へ』を開催しています。私が大切にしているのは、皆様が聴きたいと思う曲を聴きたいように歌うこと。私の歌でエンターテインするため、全曲キーを変えずに歌っています。

──2017年には熱狂的なファンも多い「ヤガ祭り」が始まりました。


八神 「歌いたい歌を歌いたいだけ歌う」「私は歌で魅了する」。ヤガ祭りは、キャッチコピーどおりのライブです。通常のコンサートはたいてい2時間ほどなのですが、あっという間すぎて歌い足りない(笑)。主催して、好きなだけ歌うしかないと思ったのが始まりでした。2日間で歌う曲数は50曲以上。毎回、私も体当たりなのですが、「観客の皆さん、お疲れ様です」という気持ちにもなります(笑)。私は、アーティストというより歌い手なんですよね。その時々の自分が歌いたい曲を作って届けていきたいんです。

──進化されているのが驚異的です。

八神 公演を重ねると声帯が鍛えられ、声質も変わってくるんです。発声法や声の響かせ方にも興味があるのですが、歌い続けることでレベルアップしていく過程も楽しくて。「TERRA〜here we willstay」や「負けないわ」は、デビュー当時の私には歌えなかったと思います。そこまで力量がありませんでしたから。今の声だから歌えるんですよね。いつも今が最高形でいられるようにしたいですね。

──どのような歌い手が理想ですか?

八神 心を突き抜ける歌を歌える人でありたいと思っています。私の声で歌うことで、見えなくなっているものが見えるように、聞こえないものが聞こえるようにする。それが、私が理想とする真のエンターテイナーの姿なんです。

──そのパワフルさ、行動力の原点は?

八神 90歳の母です(笑)。65歳でスキューバダイビングの免許を取得し、今も社交ダンスを続けているんですよ! 妄想して暴走して(笑)。やりたいこと、やろうと決めたことは何歳からでもできると示してくれる、私のお手本です。そのDNAが私にも受け継がれているのだから、頑張ろうと思える存在ですね。

──今後の目標をお聞かせください。

八神 歌い続けたいですし、旅もしたい。両方叶う『キミの街へ』を始めて本当によかったです。来たるべき2028年にはキリのいい年齢になりますし、ちょうどヤガ祭りも10回目を迎えるので、ますますパワーアップしていきたいです。皆さん一緒に走り続けましょう!

八神さん自らが語る 思い入れが強い曲

八神さん自らが語る 思い入れが強い曲(左)「思い出は美しすぎて」1978年
高校3年生で出場したチリ国際音楽祭が開かれたビニャ・デル・マールの美しい街の風景や出会った人々、音楽祭での楽しい日々を思いながら書いたプロ・デビュー曲。

(右)「みずいろの雨」1978年
事務所の人に「名古屋に帰ったら」といわれ「ライターとしてやれれば」と、大好きだった岩崎宏美さんの声を思い描きながら書いた。この曲が私の音楽人生を変えた。

八神さん自らが語る 思い入れが強い曲 (左)「翼」2013年
東日本大震災の支援活動で「私にできることは何か」と考え、出した答えが「歌を作って届けること」だった。命あるものすべてに寄り添い、命の素晴らしさを歌った曲。

(右)「1年と10秒の交換」2016年
これからの自分の人生の1年を、会えなくなってしまった人と会える10秒に交換してまでも伝えたい言葉というのは、どのくらい重く深い言葉なのかを問いかけている。

八神さん自らが語る 思い入れが強い曲 (左)「TERRA〜here we will stay」2021年
「TERRA」は“地球”を意味するラテン語で、制作に5年を要した11 分17秒の組曲。地球、地球上の命、人とのかかわり方を描く。この歌を作るために私の音楽人生はあった。

(右)「負けないわ(Never Give Up Remix)」2024年
誰かや何かに、ではなく、昨日の自分に負けないぞ、と、みんなと一緒に私も頑張っていくぞ!という思いを込めた。ライブでは、アンコールに会場一体となって盛り上がる。

法相宗大本山 薬師寺

国宝、重要文化財の宝庫
法相宗大本山 薬師寺

奉納行事の特設会場が設けられる東塔は、大小の屋根が流れるように重なる美しさから「凍れる音楽」と讃えられたことでも知られています。松久保伽秀執事長曰く「奉納行事としてお受けした寺でのコンサートは、最初は地球温暖化への意識向上を目的に、2010年頃から始まりました。仏様に少しお許し願って、忙しい皆様に現実からいっとき離れる時間を提供する意義もあります」。幻想的な夜の薬師寺での奉納行事、ぜひ一度ご体感を。

奈良市西ノ京町457
TEL:0742(33)6001
近鉄西ノ京駅より徒歩1分
https://yakushiji.or.jp

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年03月号

家庭画報 2026年03月号

撮影/大道雪代 取材協力/薬師寺 編集協力/KAZUKI 構成・取材・文/小松庸子

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