エンターテインメント

歳を重ねるほど踊りは自由になる──進化し続けるバレエ・ダンサー、上野水香の現在地

2026.02.13

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表現の幅、踊れる役の幅は自分で広げるもの

 モーリス・ベジャール振付「ルナ」 は上野さんがとりわけ好きな作品のひとつ。「振付が難しく、体力的にもハードな作品です。でも、美しいバッハの旋律と、音楽と見事に調和したベジャールさんの振付が大好きなんです。他の作品ももちろんですが、ひとりでも多くのお客さまに見ていただきたいですね」

モーリス・ベジャール振付「ルナ」 は上野さんがとりわけ好きな作品のひとつ。「振付が難しく、体力的にもハードな作品です。でも、美しいバッハの旋律と、音楽と見事に調和したベジャールさんの振付が大好きなんです。他の作品ももちろんですが、ひとりでも多くのお客さまに見ていただきたいですね」


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──『ボレロ』や『ルナ』などの、いわゆる古典バレエ以外の作品も踊られます。ひとつの公演で踊り方が違う大変さはありますか。

上野さん:ありますね。クラシックとコンテンポラリーでは、体の使い方がまったく違うので。クラシックはアン・ドゥオール(股関節から脚を外旋する動き)が基本ですが、コンテンポラリーにはアン・ドゥ・ダン(股関節から脚を内旋する動き)も頻繁に出てきます。アン・ドゥ・ダンが甘くなるとかっこいい踊りにはならないので、しっかり身体の動きを使い分けなければなりません。短時間で切り替えなければならないのは大変ですけど、その切り替え自体も楽しいです。


──表現面でも切り替えが必要そうですね。

上野さん:自分で言うのも憚られるのですが、私はわりといろいろな面を持っているタイプのダンサーだと思っています。それは、これまで本当にさまざまな役を踊らせていただいたからこそ。そんなあらゆる面をお客さまにお見せできるのが、この〈オン・ステージ〉なんです。

──『白鳥』のオデット/オディール、『ジゼル』、キトリ、『ボレロ』のメロディ、『ザ・カブキ』の顔世御前……と枚挙にいとまがないですが、その多面的な表現力はどのように培われてきたのでしょうか。

上野さん:「分析すること」だと思います。例えば、ジゼルのような小柄なイメージがある役だと、一見私の体形には向かないと思われがちですが、その中で自分の良さをどう出すかを考えます。体形や雰囲気がこうだから無理、ではなくて、どう見せれば説得力が出るかを分析していく。

白鳥のオデットもそうです。日本人の中では身長が高いほうですけれど、ロシアの高身長のダンサーたちに比べたら身長や手脚の長さは敵わない。でも、オデットはただ美しい白鳥なだけではなく、人間でもある。鳥と人間、その両方を行き来することで、私なりの白鳥になります。

『ボレロ』のメロディにしても、これまで身長が高めのダンサーが踊ってきていますが、身長が低くても技術と表現力があれば踊りこなせると思います。自分を分析して、役に活かせる長所を見つければ、踊れない役も表現できない役もない。これが長い時間をかけてたどり着いた方法論です。 『ボレロ』。赤い円卓の上で踊るソリスト“メロディ”と周囲の群舞“リズム”によって、官能的で神秘的な世界へと導かれていくかのような独特な演出と踊りは圧巻。

『ボレロ』。赤い円卓の上で踊るソリスト“メロディ”と周囲の群舞“リズム”によって、官能的で神秘的な世界へと導かれていくかのような独特な演出と踊りは圧巻。

上野水香さんの写真を「秘蔵フォトギャラリー」で見る>>

踊ることは、人生の一部

──上野さんにとって、「踊ること」とは何でしょうか。

上野さん:ひと言では表現できないですね。常に踊ることと一緒に生きてきたので、自分の一部のような感覚はあります。

自分からやりたいと言ったわけでもなく、親に勧められるまま始めて、たまたま出場したローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップをいただいて、なんとなくプロになろうと意識するようになって……。なので、何度もやめたいと思ったこともあります。でも気づいたら、不思議と踊り続ける方向に導かれている。最近ようやく使命のようなものなのかもしれないと思うようになりました。

だからこそ、今はこの一瞬一瞬を大切に、ひとつひとつの舞台と向き合っていきたいと思っています。永遠に踊り続けていけるわけではないですから。

──最後に、3月の〈上野水香オン・ステージ〉を楽しみにしている方へ、メッセージをお願いします。

上野さん:『ボレロ』という作品は、バレエに興味がない方でも必ず心を動かされる傑作です。『ボレロ』を見るだけでも、会場へ足を運んでいただく価値があると思います。そしてこの公演は、私のいろいろな面を見ていただけるプログラムになっていますし、バレエ団の仲間たちと一緒に、東京バレエ団としての総力も感じていただけたら嬉しいです。いろいろな角度から楽しんでいただける舞台になるよう、全力で頑張ります。

上野水香/うえの・みずか

神奈川県出身。5歳よりバレエを始める。1993年、15歳でローザンヌ国際バレエコンクールにてスカラシップ賞を受賞し、モナコのプリンセス・グレース・クラシック・ダンス・アカデミーに2年間留学、首席で卒業。帰国後、数々の古典全幕作品やローラン・プティ作品に主演。2004年東京バレエ団にプリンシパルとして入団。23年からはゲスト・プリンシパルとして活動。『ドン・キホーテ』『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『ラ・バヤデール』『ジゼル』などで主演。ベジャール振付作品に、『ボレロ』の“メロディ”、『ザ・カブキ』の“顔世御前”などがある。令和3年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞、令和5年秋の褒章で紫綬褒章を受章。

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東京バレエ団「上野水香オン・ステージ」

2025年3月20日~3月22日/東京文化会館
S席/1万5000円 A席/1万2000円 B席/9000円 C席/7000円 D席/5000円 E席/3000円 U25シート/2000円

お問い合わせ/NBSチケットセンター 03-3791-8888

公式サイトURL:https://www.nbs.or.jp/stages/2026/mizuka-ueno/


家庭画報ドットコム会員限定プレゼント企画

『上野水香オン・ステージ』3月20日(金・祝)17時~のS席チケットを、1組2名様にプレゼントいたします。

応募には、家庭画報.comの会員登録(無料)が必要です。未登録の方は応募ボタンから「新規会員登録」へお進みください。応募者多数の際は抽選となります。

応募締め切りは3月1日(日)23時30分。

注意事項(必ずお読みください)
●当選の発表はプレゼントの発送をもってかえさせていただきます。抽選結果に関するお問い合わせにはお答えしかねます。
●住所不明・長期不在等で届かなかった場合は、当選を無効とさせていただきます。

撮影/国井美奈子 取材・文/鈴木啓子 ヘア・メイク/福沢京子 衣装/グレースクラス(全て参考商品)

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