エンターテインメント

【特別ロングインタビュー】シティ・ポップの女王が歩む杏里という生き方

2026.01.07

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楽曲の魅力が海を越えたシティ・ポップの女王

──外国人ダンサーやコーラスをツアーメンバーに迎えたり、早い時期からシンセサイザーを使用するなど、革新的な演出を追求されていますよね。

杏里 アメリカ本場で一流のミュージシャンたちとセッションを重ねるうちに、音楽のさまざまな面白さを現場で体感する機会があったんです。ストリートダンスとブレイキングに出合ったときも、このダンスのカルチャーを日本に持ち込みたい! と思いました。ブレイキングのプロダンサーのみんなの運動量は想像を超えるレベル。彼らとのツアーでは、いつも以上に激しく踊りながら歌わなければならなかったので、体力がある私でもクラクラするほど大変でした。でも、練習するうちに呼吸法をマスターし、本公演ではばっちり。若い頃は尖っていた部分もあったのでしょうね(笑)。だからこそ、先陣を切る新しい取り組みにチャレンジすることができたのかもしれません。

『ANRI LIVE 2025 TIMELY!!』公演から。アルバム『Timely!!』収録曲をメインに歌とダンスを披露。会場が揺れるほどの盛り上がりを見せた。©小林利史

『ANRI LIVE 2025 TIMELY!!』公演から。アルバム『Timely!!』収録曲をメインに歌とダンスを披露。会場が揺れるほどの盛り上がりを見せた。©小林利史

──幼い頃から、個性的でしたか?


杏里 誰かがやったことより、オリジナリティを大事にする子どもでした。ファッションにも自分なりのこだわりがあったと思います。中学生の頃、原宿にあるエスニックなショップで白のスパッツなるものを発見しまして。私、マドンナがはく前からスパッツをはいていたんですよ(笑)。父に「西洋ステテコ」と笑われた記憶がありますが、どうやら中学生の頃から変わったファッションをしていたようです。

──セルフプロデュースを始められたのも必然だったのですね。

杏里 そうですね。今もバンドマスターをしてくれている小倉泰治さんを編曲に迎えたアルバム『SUMMERFAREWELLS』(1987年)以降、本格的に楽曲制作に取り掛かりました。

バンドのプロデュースも:杏里さんがプロデュースする「BESTBuddies」には、杏里さんのステージのバンマスである小倉泰治さん(キーボード)を中心に精鋭ミュージシャンが集結。

バンドのプロデュースも
杏里さんがプロデュースする「BESTBuddies」には、杏里さんのステージのバンマスである小倉泰治さん(キーボード)を中心に精鋭ミュージシャンが集結。

──デビュー以来、日本とロサンゼルスを行き来し、ジャネット・ジャクソンをはじめとする海外の一流ミュージシャンとも親交が深い杏里さんですが、2010年代の後半頃から世界を席巻するシティ・ポップの人気を、アメリカでも実感できましたか?

杏里 アメリカのニュースチャンネルCNNがシティ・ポップを取り上げたりしていましたから。時代のムーブメントなのだと思います。世界の音楽ファンの方々に、ニューミュージックやフォークのように、日本を象徴する音楽の一つのジャンルとして認知・支持されたのでしょうね。

──“シティ・ポップの女王”と呼ばれる状況はいかが思われますか?

杏里 これ、本当に困る質問なんです(苦笑)。シティ・ポップの歌手といわれている皆さん、困っていると思います。前に、角松さんともその話になったのですが、作り手側はシティ・ポップを制作したとはまったく思っていないので、戸惑いもあるのが正直な反応かと。でも私は、20代の前半から、いつか自分のフィルターを通して、日本の音楽を世界に出すという思いがあったわけです。いつかそういう時代が来ると信じて疑いませんでした。それが来た、ということなのかもしれません。

「私というフィルターを通して、日本の音楽が世界で認められる日が来ると信じていた」Spotifyの月間リスナー数約200万人超えを誇る杏里さん。2026年5月にはニューヨーク、ロサンゼルスでの2公演が決定。親しいアーティスト仲間の高中正義さんが25年に行ったロサンゼルス公演も大盛況。今や、日本の実力あるアーティストを世界が認める時代となった。ニット27万5000円 スカート58万1900円 ハット16万600円/すべてエトロ(エトロ ジャパン)

「私というフィルターを通して、日本の音楽が世界で認められる日が来ると信じていた」
Spotifyの月間リスナー数約200万人超えを誇る杏里さん。2026年5月にはニューヨーク、ロサンゼルスでの2公演が決定。親しいアーティスト仲間の高中正義さんが25年に行ったロサンゼルス公演も大盛況。今や、日本の実力あるアーティストを世界が認める時代となった。
ニット27万5000円 スカート58万1900円 ハット16万600円/すべてエトロ(エトロ ジャパン)

──今後の目標をお聞かせください。

杏里 デビュー以来、音楽はいつも私の人生の中心にありました。支えてくださる皆さんに、時代や世代を超えて楽しんでいただける音楽を創り、コンサートというリアルな場所で感動を分かち合い続けるということが、今の私にとって大きな目標です。そのためには私自身、家族や友人との時間を慈しみ、豊かに成長していくことで音楽表現に深みを加えられたらと思います。

生きていくって大変なことですよね。ご病気の方、つらい状況の方……呼吸するだけで精一杯なときもあります。平和、人への思いやり、遊ぶ楽しさを大切にする。そんな思いを歌にのせ、穏やかな祈りを発信するメッセンジャーであり続けたい。聴いてくださる方々の心を少しでも癒やし、寄り添える存在の一人でいられたらと、いつも願っています。これからも、“音楽”と“ライフ”を調和させながら、一歩一歩自分らしく進んでいきます。

杏里
神奈川県出身。アーティスト、シンガーソングライター。1978年17歳でデビュー。セルフプロデュースを貫く生き方や個性的なファッションセンスが、世代を問わずリスペクトされている。シティ・ポップの中心的なアーティストとして、世界各国からの評価も高い。


(次回へ続く。)後編の記事を読む→

極上の音楽体験を楽しむ
杏里 ビルボードライブ3都市ツアー

杏里さんが心からの信頼を寄せる名プレーヤーたちが揃う「BEST Buddies」と、杏里さんが繰り広げる圧巻のライブパフォーマンスは必見。2026年3月、プロフェッショナルな極上プレミアムナイト体験をぜひ。

2026年3月6日(金)、7日(土) ビルボードライブ横浜 
2026年3月13日(金)、14日(土) ビルボードライブ大阪
2026年3月20日(金)、21日(土) ビルボードライブ東京

(次回へ続く。)後編の記事を読む→

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年01月号

家庭画報 2026年01月号

撮影/レスリー・キー スタイリング/斉藤伸子 ヘア/AZUMA〈M-rep by MONDO artist-group〉 メイク/山崎 桂〈M-rep by MONDO artist-group〉 取材・文/小松庸子

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