2週間休みがあったら、オランダに行ってみたい

──お休みの日は何をされているのでしょう?
江口:映画を観に行ったり、舞台を観に行ったり……。でも、夜出かけることはないです。映画観て、散歩して、スーパー行って、喫茶店で休んで、夕方には家に帰って、ご飯を作って食べて、お風呂入って、10時ぐらいにはもう寝てますね。どうしても朝早く起きちゃうので、10時ぐらいには眠たくなるんです。ご飯を自分で作って食べるのは好きですね。豚汁とかパスタとか、作るものはだいたい決まってきちゃいますけど。
──何か趣味はお持ちですか?
江口:趣味らしい趣味はないですけど、今はテレビで世界陸上を見るのがめっちゃ楽しくて(取材時は「東京2025世界陸上」開催中)。特にトラック競技が面白くて、見始めるともう何もできなくなりますね。あんなにしんどいことをやり続けているスポーツ選手って、すごいな、素敵だなと思うし、生き物としてしなやかで美しいなと思います。
──旅もお好きだとか。
江口:はい。でも、旅も疲れますからね。帰ってすぐ仕事というのはキツいから、休みが1週間以上あったら行こうかなっていう感じです。もし2週間ぐらいぽっかり空いたら、オランダに行ってみたいですね。去年パリに2週間くらい旅行したときに、オランダ在住のすごく素敵な女性と知り合ったんです。その人に「いいところだから、1回オランダに遊びにおいでよ」って言われて以来、すごく興味があって。街がコンパクトで、けど自然もあるというのが良さそうだなと思っています。
──江口さんが俳優になってよかったと感じるのは、どんなときですか?
江口:それはいつもですね。この仕事があるから、社会とかかわることができているんだなと思うから。演じる仕事が、人と会ったり、話をするきっかけになっているし、世の中を学んだり、「自分ってこういう人間なんだ」と発見することもできる。それに、難しいけど、やっぱり面白いんですよね。特に舞台の稽古や本番で、自分も聞いたことがないような声が出たときは面白いです。フィクションだし、決められたセリフをしゃべっているんだけれども、そこで生きている人物としての感情が湧き出てきて、その瞬間“本当”な感じになる。そういう瞬間を目撃できることが、自分が演劇を観に行くときの楽しみにもなっています。やっぱり生身の役者を見るって面白いですよね。

──今後どんなことをやってみたいですか?
江口:このまま面白い監督さんや演出家の人に出会えたらいいなって思います。やっぱり作品はみんなで作っていくものだから、良きリーダーに出会えたら、それはもう最高ですよね。自分で何かプロデュースするとか、監督をするとか、そういうことは何も考えてないです。ただ、この“演じる”という仕事を、このまま大事にやっていきたいなって思いますね。
──今回の舞台『また本日も休診~山医者のうた~』では、今どういったところが一番楽しみですか?
江口:まだ稽古場が定まってない感じなので、自分も含めて「さあ、これからどうなっていくんだろう?」っていうところですね。稽古場がちょっとピリピリしているときもあって、そういう雰囲気が面白いです。そういえば私、夢を見たんですよ。稽古場でボヤが起きる夢。
──ボヤ!? なんだか不穏な夢ですね。
江口:それがすべてを表している気がします。そういう、いつどこで小さな火事が起きてもおかしくないような稽古場(笑)。私は和やかな稽古場より、このぐらいのほうが好きですね。スリリングで面白くて、ちょっとたまらないです(笑)。でもお芝居の内容は、大らかで人情味たっぷりで、すごくわかりやすい話。全く構えずに観られるので、ぜひ観に来て欲しいです。劇場でお芝居を観るって、やっぱり楽しいですよ。

えぐち のりこ/1980年、兵庫県生まれ。2000年に東京乾電池入団。02年に『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』で映画デビュー。多くの話題作に出演し、24年の『リア王』と『ワタシタチはモノガタリ』で第75回芸術選奨文部科学大臣新人賞を演劇部門で受賞。25年に『愛に乱暴』で第35回高崎映画祭最優秀主演俳優賞を受賞。近年のその他の主な出演作は、舞台『星の降る時』、映画『お母さんが一緒』『あまろっく』、ドラマ『ソロ活女子のススメ』シリーズ(TX)、『連続テレビ小説 あんぱん』(NHK)など。
『また本日も休診~山医者のうた~』
時は昭和50年代。那須高原の見川医院は、釣り好きの医師・見川鯛山(柄本 明)に勝ち気で情に厚い妻のテル子(渡辺えり)、大工の六(佐藤B作)や茶畠巡査(笹野高史)ら、一癖も二癖もある住民たちで今日も賑やかだ。ある日、自然豊かな鷲ッ羽山にリゾート開発の話が持ち上がる。山に住む民代(江口のりこ)は反対するが……。
10月11日~15日/博多座 10月23日~11月2日/明治座 宇都宮、山形でも上演。原作/見川鯛山『田舎医者シリーズ』 脚本・演出/田村孝裕 音楽/パスカルズ 出演/柄本 明 渡辺えり 江口のりこ 佐藤B作 笹野高史 林 翔太 市川美織 ほか
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