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舞台『また本日も休診~山医者のうた~』に出演、江口のりこさんが語る、演じることの魅力と休日の過ごし方

2025.10.03

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NHK連続テレビ小説『あんぱん』で演じた、たっぷりの愛情とユーモアが光るヒロインの母・朝田羽多子役も魅力的だった江口のりこさん。飄々としたなかにも、ぶれない芯を感じさせる人気俳優が、舞台『また本日も休診~山医者のうた~』に出演します。原作は、那須高原に開いた診療所で地域医療に従事しながらエッセイや短編小説を執筆した医師・作家の見川鯛山氏の作品。昭和50年代の那須高原の山里で巻き起こる、笑いあり涙ありの物語です。江口さんに稽古の様子や演じることの魅力、休日の過ごし方などについて伺いました。

心の健康、体の健康。これが一番大事ですね

──見川鯛山・テル子夫妻を演じる柄本 明さんと渡辺えりさんをはじめ、多彩な舞台巧者が顔を揃える『また本日も休診~山医者のうた~』。台本にも皆さんの個性が反映されていて、面白く読ませていただきました。

江口:すごいですよね。これだけの人数の役者に対して、それぞれの持ち場がちゃんと書かれていて。(脚本・演出の)田村(孝裕)さんは、本当に大変だったと思います。稽古でも、先輩方に怖気づくことなく、ああして欲しい、こうして欲しいと、はっきりと要望を伝えていて。田村さんとは、私が29歳のときにシアタークリエで一度ご一緒しているんです(2009年『ゼブラ』)。出演者には矢部(太郎)さんもいました。まだ立ち稽古になって2日目なので、私はまだまだ「どんなふうにしていったらいいのかな」「難しいな」と思いながらやっている感じですけれども、16年ぶりにまた一緒に芝居を作ることができて嬉しいです。

──江口さんが演じるのは、鷲ッ羽山の売却に反対し、リゾート開発の話に乗ろうとする村人たちから疎まれる阿久津民代。どんな印象をお持ちですか?


江口:山の中に一人で住んでいて、人付き合いが苦手で読み書きもできないという設定なので、孤独な感じなのかなと思いきや、喧嘩しながらも村人とそれなりに交流はしていて。民代の話をちゃんと聞いてくれる鯛山先生もいるし、そこまで孤独でもないんだなと感じています。

江口のりこさん ──朝ドラ『あんぱん』の羽多子さん役も素敵でした。さまざまな役柄を演じていらっしゃいますが、役を演じる際に大切になさっていることは?

江口:まず体調管理ですね。体が元気じゃないと何にもできないので、ちゃんと食べて、ちゃんと眠る。それで、ちゃんとセリフを覚えていく。あとはもう、みんなで作るものですから、ああして欲しい、こうして欲しいと言われたら、そんなふうにできるようにいたいなっていう思いがあります。やっぱり寝てなかったりすると、機嫌悪くなっちゃうし、反発したくなっちゃうんですよ(笑)。だから心の健康、体の健康。これが一番大事ですね、はい。

──そう思うようになったきっかけはあったのですか?

江口:寝てないときにセリフが全然出てこなくなったことがあって、やっぱり眠らないとダメだなと思って。「セリフって、自分では覚えたつもりでも全然入ってないんだな」と思い知ったこともあります。何かこう、やればやるほど、「この仕事って怖いな」と思ってきますね。だから、今こうやって先輩方と一緒に稽古をしていても、これだけすごい人たちなのに、先輩方のほうが若い人より何か怖がってる感じがするんですよ。それがね、何ていうか、この仕事の恐ろしさだなって思います。

──そんな先輩方を稽古場で見ていて、どんなふうに思われますか?

江口:やっぱり毎日「今日も会える」と思うと嬉しいし、楽しいですよ。和気藹々とするなんてことはゼロですけど(笑)、見ていて面白いです。芝居って面白いなと思うし、先輩方は立ち向かうのでね。「もうこれでいいや」っていうことは絶対にない。そういう姿勢を見ると、すごいなあって思います。

──柄本さんは、江口さんが所属する劇団東京乾電池の座長でもあります。ご自身にとってどんな存在ですか?

江口:やっぱり私の先生ですからね。いろいろ思ったりすることはありますけど、自分が柄本さんに対してどんなことを思っているかということは、言わないことにしているんです。柄本さんが生きているうちは、しゃべるのをやめようと思って。柄本さんが、それをどこかで見たり聞いたりするのも嫌でしょうし、だから別に、みんなに向かって言わなくてもいいじゃないかと思っていて。

江口のりこさん ──なるほど。ちなみに、柄本さんは江口さんのことを、いい女優だとおっしゃっていました。「笹やん(笹野高史さん)と(佐藤)B作さんが、稽古で江口をどんな目で見るか楽しみ。江口は見られると見返すからね」とも。

江口:えー、そんなことを。ありがたいですね。ちょっと鬱陶しいけど(笑)。その「見返す」っていうのは、覚えがあります。劇団に入ってすぐの頃に、芝居の最中に柄本さんにじーっと見られたことがあって。怖いと思ったんだけど、目を逸らしたらダメなんだ、逸らしたら負けだと思って、ずっと見返していたんです。今考えると、そんなところで勝負して馬鹿みたいって思いますけど(笑)、そんなときがありましたね。

──目に浮かびます。ご自身にとって転機となった作品や出来事を教えてください。

江口:それがないんですよ。たくさんお仕事をするようになっていく中で、いわゆる視聴率が良くて、みんなに知ってもらうきっかけになった作品はあるし、何かしらの出会いとか、小さな気づきみたいなものは毎回あるんですけど、これで大きく飛躍して自分が変わりました、というのは全然なくて。19歳で東京乾電池に入って、今もそのまま劇団にいますし、柄本さんもこうやって変わらず元気に主演の舞台をやられている。周りも、自分がやっていることも、そこまで変わっていないんですよね。気づいたら45歳で、びっくりしています(笑)。

撮影/大靏 円 取材・文/岡﨑 香

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