音楽祭の雰囲気が好きで、
“いつか自分の音楽祭を”と思っていました
ソリストとして世界の舞台で活躍しつつ、これからの日本、アジアの音楽界のことを考え、「一人でも多くの人たちに音楽の魅力を伝えたい、若手音楽家の活動の場を広げたい」と、奔走する三浦さん。
室内楽の歓びを伝えていきたい
宮崎国際音楽祭は創設時より、室内楽を大きな柱として発展してきました。三浦さん自身、「室内楽は音楽的会話の基本」と考え、とても大切にしています。
「今回新しく、『室内楽の秘密』というプログラムを立ち上げました。奏者同士がどんなことを考え、どんなコミュニケーションをとりながら演奏しているのか、トークをしながら、短いフレーズを実演するんです。それから、一曲通して聴いてもらう。すると、聴きどころがわかるので、集中して楽しんでもらえるようです。われながらうまくいった企画で、これからも続けたいと思います」

そして三浦さんといえば、デュオや室内楽で共演を重ねてきた一番の音楽仲間が、ピアニストの辻󠄀井伸行さん。三浦新音楽監督へのお祝いも兼ねて、駆けつけてくれました。
気心知れた仲間同士のリハーサルは、とても和やか。どうやら前の晩は一緒に宮崎の街に繰り出し、おいしいものをたくさん食べたようで、そんな会話から始まりました。しかし演奏が始まれば、一点集中の気迫。
「辻󠄀井くんは、チャレンジ精神がすごいんです。レパートリーもどんどん増えていくし、毎回の演奏で常に上を目指している。何より本番が好きなんですよね。ステージ上が一番幸せそう。それって、音楽家の誰もがなれる境地ではないと思うので、大いに刺激されます」
リハーサルも和やかな雰囲気で。
「空から降る音色」と題された二人のデュオ・リサイタルは、まさに、ホール全体が美しい響きに包まれ、心洗われるよう。3階まで埋め尽くした聴衆は、ものすごい集中力で聴き入り、最後の一音が消えゆくと、スタンディングオベーション。三浦さんも辻󠄀井さんも満面の笑みで、アンコールに応えました。
「非常に楽しい仲間」として信頼する辻󠄀井伸行さんとのステージは、作曲家と向き合い、楽譜を紐解き、音楽を共にする歓びに溢れていた。
自分にとっての音楽祭という場所
「10代の頃からヨーロッパ各地の音楽祭に参加し、その雰囲気が好きで、いつか自分の音楽祭を作ってみたいと、吸収していたんです」
という三浦さん。実は2018年から辻󠄀井さんと二人で、東京で「サントリーホール ARKクラシックス」という音楽祭を立ち上げ開催しています。これからは宮崎と東京、2つの音楽祭を担う立場となるわけです。
「今秋のARKクラシックスでは、ピンカス・ズーカーマンを招き共演する予定です。それはとても光栄で嬉しいことで、また宮崎にも、お呼びできたらと思っています」
世界的音楽家が集い、室内楽の魅力を広め、特別なオーケストラを編成して若手音楽家が切磋琢磨する、2つの音楽祭。その相乗効果は、聴衆にとっても日本の音楽界にとっても、楽しみでしかありません。
「とにかく必死にやっていきます」
三浦文彰さん出演の2025年コンサート
◆2025年10月3日(金)~ 7日(火)〈東京〉『ARK Hills Music Week 2025サントリーホール ARKクラシックス』三浦文彰とピアニストの辻󠄀井伸行がアーティスティック・リーダーを務める、都市型の音楽祭。世界トップクラスの音楽仲間がサントリーホールに集結し世界最高峰の音を奏でる、贅沢な5日間。
◆2025年10月11日(土)~19日(日)〈山梨、新潟、宮城、北海道、愛知、大阪、兵庫〉『究極の室内楽 辻󠄀井伸行&ARKソロイスツ』辻󠄀井伸行、三浦文彰、セルゲイ・ナカリャコフ、高木綾子ら豪華ソリストと、日本をリードするトップ奏者による、“究極の室内楽コンサート”。
◆2025年12月18日(木)、19日(金)〈東京〉『東京都交響楽団第1031回定期演奏会』演奏曲:チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調op.35」