漆を使った古典金継ぎを習うだけでなく、そこで過ごす時間が楽しみになる、新しいスタイルの金継ぎ教室をご紹介します。「DAIKUHARA Kintsugi & Antique(ダイクハラ キンツギ&アンティーク)」は、少人数制の金継ぎ教室と、アンティークのデルフト陶器を扱います。
教室はレストランの個室のような雰囲気。設計は京都の建築家、横内敏人さん。
隅々まで整えられた空間で真剣に器と向き合う
「DAIKUHARA Kintsugi & Antique」は、金継ぎ師の大工原正伸さんが主宰する古典金継ぎ教室とアンティークのショップです。「私はフレンチのシェフからキャリアをスタートしているので、手仕事の“メゾン”のような金継ぎ教室で学ぶことを楽しんでいただきたいです」と大工原さん。教室は、各クラス定員3名。月に2回、6回1クールのコースです。必要な道具はすべて教室で揃えられるので、直したい器を持ち込めばレッスンスタート。京壁に中庭の緑が映え、作業机から道具に至るまで気配りが行き届いた心地のよい空間で、真剣に器と向き合う時間を過ごします。
大工原さんの手元。錆漆に黒漆をのせているところ。器は18世紀のデルフト陶器のパンケーキ皿。
教室の隣には小さな茶室があり、受講者はここで休憩時間にお茶とお菓子をいただきます。並べられたアンティークのデルフト陶器は大工原さんがオランダで選んだもので、販売もされています。手元に集中する緊張感から解き放たれ、主に17世紀から大切に使い継がれてきた美しいものを眺めながらの一服は、何にも代えがたいおいしさです。お菓子やお茶も、料理に関わってきた大工原さんならではのセレクト。作り手のこだわりが感じられるものをお出しするそう。一人で参加する人も多く、交流の場としても楽しい時間です。
教室スペースの隣は、中庭に向けた広い窓のある茶室。デルフトの器のなかには、大工原さんが金継ぎしたものも。

茶室にて、金継師で主宰の大工原正伸さん(左)と、一級建築士のはるみさん(右)。夫妻で教室を運営している。
「金継ぎは、目的ではなく、手段。手元にあるものを直してまた生活に戻すことで、そこからまたその器の歴史が始まり、使う喜びが深まります」と大工原さん。金継ぎを通じて器を修復することは、日々の暮らしに新たな充実と、心の癒やしをもたらしてくれそうです。
大工原さんの作品。左から、竹の鎹(かすがい)と黒漆で継いだ現代もののプレート、黒漆で継いだ現代作家の小皿、ヒビを金で直した茄子の模様の染付皿、欠けの断面形状をそのまま生かして銀で直した現代作家の中皿。

イデーのプレートの表と裏に金のしずくが流れていくようなデザインの金継ぎ。夫妻の友人の建築家に依頼されたもの。

朝鮮唐津の酒器。釉薬の流れに合わせて、2種類の銀でしずく模様を描いた金継ぎ。
大工原さんは、実はフランス料理人からキャリアをスタートした人。「うかい亭」で腕を振るい、ポール・ボキューズ氏の右腕としてフランス料理界で長く活躍したロジェ・ジャルー氏とも生涯の親交を深めました。「おいしい食事を作るには、やはり長い修業が必要でした。豊かな時間を提供するためには、器やインテリアも含めたトータルな空間が必要です。自身の関心も内装や店舗づくりへと、自然と広がりました。非日常の時間もその中で生まれます。金継ぎにおいても同じこと。私の中ではすべてが繋がっています」。「DAIKUHARA Kintsugi & Antique」で過ごす時間が、まるでファインダイニングの“メゾン”のようであることの理由が、ここにありそうです。
左は、ロジェ・ジャルー氏の初来日イベントの際のスナップ。右がシェフ時代の大工原さん、左がジャルーさん。右は、イベント時の記念写真。
DAIKUHARA Kintsugi & Antique東京都八王子市兵衛1-1-7
〈金継ぎ教室〉月2回で、隔週の火曜・水曜・土曜 ※開催週と空き状況はウェブサイト、またはDMにてお問い合わせください
午前・午後通しクラスは10時30分〜15時30分(1時間昼休み込み5時間) 6回1クール9万円
午前2時間クラスは10時30分〜12時30分、午後2時間クラスは13時30分〜15時30分 各6回1クール4万5000円
*初回のみ別途、お道具代3万円
*すでにお持ちのお道具がある場合は必要なものだけの購入も可能
〈ショップ〉13時〜17時
*営業日時は
ウェブサイトと
インスタグラムにてご確認ください。