
佐賀藩の御用窯(ごようがま)として江戸時代(17世紀後半)に誕生した鍋島焼は、当時肥前を治めていた鍋島家が、全国の優れた陶工を伊万里市大川内山(おおかわちやま)に集め、藩直営の「鍋島藩窯(なべしまはんよう)」を築いたことが始まりです。
切り立った奇岩が連なる山々に三方を囲まれ「秘窯の里(ひようのさと)」とも呼ばれる大川内山に優秀な職人を隔離し、その技法と意匠が外部に流出することを固く禁じていました。
将軍家や諸大名などへの献上品としてのみ制作された鍋島焼は、一般には流通しない特別な磁器。藩の威信をかけて、徹底した管理体制と門外不出の最高の技術により、極めて芸術性の高い名品が作り上げられました。
御用窯だからこその、他の焼き物とは一線を画す完成度と格調の高さ、技術的精緻さを有することから、“日本最高峰の磁器”とも称される鍋島焼。明治時代の廃藩置県と共に御用窯としての役目は終えましたが、その誇り高いものづくりは、民窯となった現代にまで受け継がれています。
昨年9月、開窯350周年を記念し、大阪・関西万博で大きな反響を呼んだ「献上瓶子(へいし)」の展示。その規模をさらに拡大した特別展「鍋島焼 献上の歩み展」が2026年2月13日より開幕します。
かつての献上文化の技術と精神を今に伝えようと、大川内山の陶工たちが1989年から全国の名城所在の首長や都道府県知事らに瓶子を贈る「鍋島焼 献上の儀」。本展は、そのために作られた瓶子のうち、現存する29品すべてが一堂に会するまたとない機会です。
「鍋島焼 献上の儀」の瓶子は、「献上用」と「保管用」の2つを制作しており、今回は、保管用瓶子を用いて展示が行われます。
御用窯であった頃から脈々と受け継がれる、完璧を追求する強い美意識と、卓越した職人技、そして時代にあわせて進化しつづける鍋島焼の“今”を、ぜひ会場でご体感ください。
●お問い合わせ
佐賀県 伝統産業支援室
電話:0952-25-7095(平日8時30分~17時15分)