〔特集〕価値ある作品で人生を豊かに 「アートのある暮らし」 かつては投資の対象として語られることも多かったアート。今や資産性にとどまらず、日々の暮らしを豊かに彩る存在へと広がっています。お気に入りの作品を迎えた住まいから、注目のアーティスト、飾り方まで、美術館だけではない、日常に息づくアートの魅力をお届けします。
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今、購入するべき
世界が認めた アーティスト探訪
革新的アイディアと絶え間ない実験で社会を表象する
名和晃平(1975〜)
「美術という大きな海に向けて、自分の作品を送り出す」──名和さん
宮城県石巻市に屋外展示されている《White Deer(Oshika)》の原型とともに。右下の黒いオブジェは、2023年に韓国・ソウルの「ペースギャラリー」で発表した《Spark》の試作品。
彫刻作品を中心に、国内外でジャンルを超えた目覚ましい活動を続ける名和晃平さん。京都市伏見区のサンドイッチ工場跡を改修した「Sandwich」を拠点としています。ここは、名和さんのもとに、建築家やデザイナー、職人、ダンサーなど、さまざまな分野の人々が集い、創作するためのプラットフォーム。イノベーションが生まれる空気に満ちています。
名和晃平(なわ・こうへい)大阪府高槻市生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程彫刻専攻修了。京都芸術大学教授。クリエイティブ・プラットフォーム「Sandwich」主宰。Pixel(画素)とCell(細胞)を融合した《PixCell》シリーズを代表とする彫刻作品、ダミアン・ジャレとの協働による舞台、建築など多岐にわたる作品を発表している。
●2026年9月16日より「ポーラ ミュージアム アネックス」(東京都中央区)にて、名和晃平さん、清川あさみさんご夫妻初となる二人展『Invisible Garden』を開催。清川さんのペインティング作品に《PixCell》シリーズの透明球を装飾した初の共作も見どころです。
名和さんは1998年に京都市立芸術大学を卒業、交換留学生として英国王立美術院へ。帰国後、2000年に大学院、2003年に大学院博士課程を修了。
「世代的に、アナログからデジタルへの移行を経験しています。学生時代は日本と世界が接続するイメージが持てませんでしたが、インターネットの普及によって、ローカルな場で活動するアーティストが発信する仕組みができました。京都で、腰を据えて現代美術に取り組もうと決めました」
スタジオには、「マテリアルサンプル」や「モチーフ」と呼ばれる、人体模型や流木、人形、おもちゃ、食品サンプル、薬瓶、鉱物などが無数に並べられています。
無数のオブジェがジャンル分けされて並ぶ。
「ロンドン留学中に、蚤の市に通ったのが始まりです。現在は、おもしろいものが見つかるので、平安蚤の市の骨董店によく行きます。手に入れた時点では、何になるかはまったくわかりません」。大掛かりな装置を使った実験も、具体的な作品をイメージする以前に試みているといいます。
「世界のあらゆる位相を自由に往来し、知覚や精神の冒険をして、発見したものを作品として、美術という大きな海へと送り出す。そんな想いで創作を続けています」
アメリカ・ロサンゼルス「ペース ギャラリー」での展示風景。
(次回へ続く。
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