〔特集〕価値ある作品で人生を豊かに 「アートのある暮らし」 かつては投資の対象として語られることも多かったアート。今や資産性にとどまらず、日々の暮らしを豊かに彩る存在へと広がっています。お気に入りの作品を迎えた住まいから、注目のアーティスト、飾り方まで、美術館だけではない、日常に息づくアートの魅力をお届けします。
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我が家はプライベート美術館
アートのある暮らし拝見
自然とアートに囲まれた森の家
──川崎祐一さん(起業家/エンジェル投資家)
森の家を彩るアートは、半分が動物モチーフ。具象と抽象、平面と立体が実にふさわしい場所に並んでいる。「アートはあれもこれもと足し算になりがち。引き算のバランスを熟慮しています」と川崎さん。平子さんの絵画は森の家の四季を描いた4枚組で、季節に合わせて掛け替えを行う。

平子雄一
Yuichi Hirako(1982~)
《Ideal Landscape 01》
名和晃平
Kohei Nawa(1975~)
《PixCell-Red Deer#2》2021

(鳥の彫刻)
クララ・クリスタローヴァ
Klara Kristalova(1967~)
《White wood bird》
(イタチの彫刻)
長田沙央梨
Saori Nagata(1988~)
《みずから ひかるまで》

ワン・シーヤオ
Xiyao Wang(1992~)
《Underwater Symphony》

花井祐介
Yusuke Hanai(1978~)
《Untitled》
浜名一憲
Kazunori Hamana(1969~)
《Untitled》
「最初の一歩を飛び越えればアートは未知の世界へと導き、普段は出会えない人との交流も繫いでくれます」──川崎さん
800点以上の作品を所蔵する現代アートコレクターとして知られる起業家であり、実業家の川崎祐一さん。収集のきっかけは、旅先での大雨でした。
「急に入った美術館で草間彌生展を開催していたんです。衝撃的でした。作品に吸い込まれ、このパワーにあやかりたいと思い、《南瓜》の絵画を購入することに。1時間前までは、草間さんの名前すら知らなかったにもかかわらず、起業資金の大半を充てる決意をしたんです」
リビングに一枚の絵を掛けただけで、今まで見えなかった世界が広がり、ほかの部屋にも飾りたいと思うように。そこから、コレクターへの道が始まりました。
「アートを集める動機は、嫉妬なのかもしれません。世界を舞台に活躍しているアーティストの感性に憧れ、その作品を身近な空間に展示することで自分もセンスがよくなった気分にひたっています」
6.5メートルの天井高は奈良さんの彫刻のため。美術館を手がける建築士を見つけ、作品を保護する仕様に徹底的にこだわった。井田さんは学生の頃から注目していたという。「アートフェアやSNSで響いた作家は、アトリエを見学に行きます」。©Yoshitomo Nara 画像転載不可
©Yoshitomo Nara 画像転載不可
奈良美智
Yoshitomo Nara(1959~)
《セツコ猫》2012 152.0×133.0×129.0センチ

井田幸昌
Yukimasa Ida(1990~)
《A Head》

オースティン・ワイナー
Austyn Weiner(1989~)
《His Love Language is Torture》

平子雄一
Yuichi Hirako(1982~)
《Wooden Wood 22》2023
川崎さんが収集するのは、直接対話を楽しめる現代作家の作品が中心。コミッションワーク(受注制作)にも積極的です。
「この家には、ここに招待した作家たちが、そのひらめきを形にした作品が多くあります。彼らが何を感じ、どのような作品が生まれるのかを楽しんでいます」
運命に導かれるように手にした一枚の絵画に始まり、今ではアートのために家を建てるまでになった川崎さん。
「私にとってアートとは、自然にそこにあるもので特別なものではありません。この森の家を訪れた人が気軽にアートを感じ、『自分の家にも一枚飾ってみよう』と思ってくれたら嬉しいです」
Photo:Yuya ©Takahashi Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. 画像転載不可
村上 隆
Takashi Murakami(1962~)
《Portrait》
村上 隆さんによる、川崎さんがモデルの貴重な作品。モデルは日本では数名のみ。

イェッペ・ハイン
Jeppe Hein(1974~)
《Modified Social Bench for Venice》
庭のベンチは、森に流れる小川をイメージして設置を決めたという。

天井を飾る斬新なアートはアルミ製の風船。ダンボールを着色した十字架のような絵画は、詩人ゲオルク・ハイムの詩「人生の影」にちなんだ作品。

イェッペ・ハイン
Jeppe Hein(1974~)
《Yellow Balloon》

スターリング・ルビー
Sterling Ruby(1972~)
《CRSS. UMBRA VITAE》2018

KYNE キネ(1988~)
《Untitled》
森の家の紅葉をイメージしたコミッションワークの一つ。

ステファン・ブルッゲマン
Stefan Brüggemann(1975~)
《Hyper-Poem(Free Black)》
金箔を貼ったパネルをニードルで削った作品。川崎さんはFREEという文字に解放感を覚えるそう。

ロッカクアヤコ
Ayako Rokkaku(1982~)
《Untitled》2023
ロッカクさんが立体に挑戦した作品。

長田沙央梨
Saori Nagata(1988~)
《よかぜの クッション》
長田さんが森の家を訪れた夜に見た風景。ムササビが飛んだ高さに飾っている。「先入観を持たずに好きな作品を集めています」と川崎さん。
(次回へ続く。
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