〔特集〕価値ある作品で人生を豊かに 「アートのある暮らし」 かつては投資の対象として語られることも多かったアート。今や資産性にとどまらず、日々の暮らしを豊かに彩る存在へと広がっています。お気に入りの作品を迎えた住まいから、注目のアーティスト、飾り方まで、美術館だけではない、日常に息づくアートの魅力をお届けします。
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我が家はプライベート美術館
アートのある暮らし拝見
アートコレクター・高橋隆史さん邸。1階奥にはサイモン・フジワラの作品。その下にはお子様が描いたカラフルな絵が並んでいる。
アートと暮らすために建てた家
──高橋隆史さん(ブレインパッド 共同創業者/エグゼクティブ・アドバイザー)
「アートを “買える” と認識すると世界が広がり、人生のオプションが増えます」──高橋さんリビングルームの壁に飾る作品は「子どもが怖がらないモチーフを選びます」と高橋さん。庭の木々の間に、名和晃平の作品が見える。ソファは「ミノッティ」、コーヒーテーブルは「RH」、ダイニングテーブルとチェアは「B&B Italia」。

ロバート・ナヴァ
Robert Nava(1985~)
《Song of Armor》2025

名和晃平
Kohei Nawa(1975~)
《White Deer(Meiji Jingu)》
アートコレクターの理想が叶った住空間とプライベートギャラリー
住まいにアートを取り入れるだけでなく、居住空間とは別にプライベートギャラリーが併設された高橋隆史さんの家。中庭を介して両サイドからの視線が交錯する、程よい距離感です。
エントランスホール。ここを起点に、中庭を抱くように左右に両翼が広がるコの字形の建物。右が居住エリアで、左がプライベートギャラリー。正面の和田礼治郎の作品は、オーナー自身が本物のフルーツをガラスプレートに挟むことで完成し、熟成の進み具合を含めて鑑賞するというコンセプチュアル・アート。
和田礼治郎
Reijiro Wada(1977~)
《STILL LIFE》

エリン・ライト
Erin Wright(1990~)
《Bachelor VII》
「日本の住宅は絵が飾れるような壁が少ないですよね。私も初めての作品はサイズを気にせずに購入してしまったため、当時の住まいには飾ることができませんでした。この家は、アートを飾ることを前提に、以前から親交のあった建築家の竹内誠一郎さんに設計していただきました」と高橋さん。
居住空間の随所にも、大型作品が飾れる壁や、立体作品が飾れる出窓などが設けられています。
居住エリアに飾られた作品群。さまざまなオブジェクトをクリスタルガラスの球体(セル)で覆った、《PixCell》シリーズの作品。
名和晃平
Kohei Nawa(1975~)
《PixCell-EVA-01》
寝室には、同じく名和晃平の写真作品とカメラをセルで覆った《PixCell》シリーズを組み合わせた。
《Moment Photography》(2021:05:15 14:06:33)
《PixCell-Camera》
家族の個室が並ぶプライベートエリアの廊下には、明るい色調の絵画作品を。

ブライアン・アルフレッド
Brian Alfred(1974~)
《Yoshi & Sumi》

辰巳菜穂
Nao Tatsumi(1983 ~)
《Baja California,Mexico ‒ I》

桑田卓郎
Takuro Kuwata(1981~)
《茶垸》
陶芸の伝統的な手法をアートに昇華した、高さ約64センチの大型作品。

秋吉風人
Futo Akiyoshi(1977~)
《Henry》ほか
「絵画」という概念の解体・再構築を試みる秋吉風人。既存の絵の具を混ぜてオリジナルの色を作り、チューブに詰めた “絵画の原点” といえる作品。
企業のデータ/AI活用支援により日本のデータサイエンス業界を牽引してきた「ブレインパッド」の共同創業者で、現在もさまざまな企業・団体で活動を続ける高橋さん。起業家の自身とアーティストとの間に、共通点を見出しているといいます。
「これだ、と信じる道を孤独に歩み続ける点に、共感と尊敬の念を抱いています。作品そのものももちろんですが、自分の美意識一つで世界と闘っている “アーティスト” が好きなんです」。
自身の経験を踏まえ、これからアートを購入する人にアドバイスを。
「直感的に好きだと感じる作品を購入するのが一番だと思います。まずは一点入手してみると、そこから知見や人脈が広がり、人生のオプションが増えていきます。私は次世代に引き継ぐことは考えず、一代で楽しみ切るつもりでいます」
プライベートギャラリーは、5メートルを超える天井高の大空間。設計時点で所蔵していた一番大きな作品が入るように依頼。正面の高い位置にアルフレド・ジャーの作品を。「リビングルームのソファに座って、窓越しに見えるこの作品をぼんやり眺めるのも好きですね」と高橋さん。ダヴァー・ドルジェレムは、モンゴル出身の気鋭のアーティスト。没後初めて東京国立近代美術館で大回顧展が開催され、再評価が進む山田正亮の抽象画も。

ダヴァー・ドルジェレム
Dorjderem Davaa(1981~)
《BLACK ≤ BLACK》

山田正亮
Masaaki Yamada(1929~2010)
《Color P.no 73》

アルフレド・ジャー
Alfredo Jaar(1956~)
《TONIGHT NO POETRY WILL SERVE》
詩的な言葉を用いた社会的なメッセージをネオンサインで表現するアルフレド・ジャー。
ギャラリー2階の中央に配された、勅使河原蒼風の立体作品。息の長い創作活動において、独自の彫刻理論を打ち立てた戸谷成雄、「もの派」グループの中心メンバーで、現在も注目を集め続ける菅 木志雄の作品も。

勅使河原蒼風
Sofu Teshigahara(1900~1979)
《Inochi(Life)》

戸谷成雄
Shigeo Toya(1947~2026)
《視線体:半彫刻─壁10》(奥)、《視線体:半彫刻─壁1》(手前)

菅 木志雄
Kishio Suga(1944~)
《開空識》(奥)、《2つの指向性 - 水へ》(手前)
気鋭の女性アーティストの作品も。

亀川果野
Kano Kamegawa(1996~)
《文字についての試行2-2(水が伝う)》

坪本知恵
Chie Tsubomoto(1997~)
《stela letter(no.1)》
(次回へ続く。
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